トップ国際朝鮮半島2頭立て李在明外交 「同盟派」と「自主派」が対立

2頭立て李在明外交 「同盟派」と「自主派」が対立

韓国の李在明大統領(左端)との首脳会談で発言する高市早苗首相(右端)=2月13日午後、奈良市
韓国の李在明大統領(左端)との首脳会談で発言する高市早苗首相(右端)=2月13日午後、奈良市

 韓国の李在明政権の外交・安全保障政策は実質的に2頭立て体制だ。外交政策の分裂も招くが、李大統領は「対外政策を選択する際に空間を広げる効果もある」と、この状況を放置してきた。月刊中央(6月号)で李長勲国際問題アナリストが分析している。

 「同盟派」は日米との連携協力を主軸として外交を展開することを基調とするグループで、魏聖洛(ウィソンナク)大統領府国家安保室長が代表的人物だ。魏室長は「民主党の比例代表国会議員を務め、駐米公使、朝鮮半島平和交渉本部長、駐ロシア大使を経て、北核と4強(日米中露)外交の主要現場で韓米政策を調整してきた」。

 「自主派」は南北対話復活を主導していこうとする勢力で、鄭東泳(チョンドンヨン)統一部長官(大臣に相当)が中心。鄭氏はかつて大統領選(2007年)に立候補したこともある代表的左派政治家である。廬武鉉政権では国家安保会議(NSC)常任委員長を兼任し、統一相も2度目。北朝鮮が主張しだした「2国家論」にも同調する。

 方向性の違う両派はしばしば対立するが、李長勲氏は「局面ごとに李大統領は自身の政治的メンターだった鄭長官の手を挙げている」と自主派寄りの政策に傾きがちだと指摘した。

 鄭長官がまだ公開されていない北朝鮮の核施設「亀城」について国会で言及し、これに激怒した米国が韓国との軍事情報共有を制限したが、「同盟派が大きく騒いだからだ」と責任転嫁し、問題化させたのは「意図があるのだろう」と、鄭長官は敵愾心(てきがいしん)を隠さない。

 対米関係を保とうとする同盟派に対して、自主派は常に逆を行く。「飛行禁止区域のリセットを骨子とした9・19南北軍事合意(18年)の一部復元、非武装地帯(DMZ)出入り承認権を巡るいわゆる『DMZ法』推進、米韓合同訓練調整などで米国と摩擦音を立てている」といった状況だ。

 これに対して、米国も「トランプ大統領の側近であるケビン・マッカーシー元下院議員が『韓国は立派な同盟国だが、政府が少し左派性向へ傾いて間違った道に行っている』と指摘したのも、鄭東泳長官など自主派を指して言ったものだ」と李氏は分析する。

 対日関係で浮上しているのが物品役務相互提供協定(ACSA)だ。李大統領は「時期尚早」と消極的だが、自主派の影響が明白である。南北交流を復活させようとすれば、米韓合同訓練はもちろん、これに日本の自衛隊が加わったり、ACSAを締結したりするなど到底受け入れられるものではない、というわけだ。

 しかし、韓国は過去に日本から「武器提供」を受けたことがある。13年南スーダンでの平和維持活動(PKO)で弾薬が切れ、自衛隊に提供を求めて「1万発の弾薬」を借りた。当時、日本には武器提供の法的根拠がなかったが、状況を考慮し提供したものだ。図らずも韓国軍が日本の「武器輸出」を実行させてしまった格好となった。

 自衛隊部隊長は韓国軍から直接要請があったと述べているが、韓国内で批判に晒(さら)された軍は「国連から借りた」と言い訳をし、あたかも自衛隊が嘘(うそ)をついたように取り繕った。弾薬を貸して感謝もされず、嘘つき呼ばわりされた後味の悪い事案だった。

 だが、東アジア安保のためには日韓が融通し合うACSAは必須のもの。同盟派と自主派の対立で李大統領はまた自主派の肩を持つのだろうか。

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