3日に実施された韓国統一地方選挙(16の道知事・広域市長選など)と同時に行われた全国14選挙区の国会議員再・補欠選は、李在明政権が発足して初の全国規模の選挙であり、政権1年とも相まって、その中間評価の意味合いが強かったが、最大の焦点となった首都ソウルの市長選や釜山市補欠選で保守系候補が大接戦を制し、勝利した。保守派は壊滅的打撃を免れ、再起に望みをつなぐ格好となった。(ソウル上田勇実)

選挙は革新系与党「共に民主党」と保守系最大野党「国民の力」による事実上の一騎打ちとなった。当初、多くの政治評論家らは地方選の勝敗予想を巡り、国民の力候補の優勢は地盤である南東部の慶尚北道知事選1カ所のみで、2~4カ所の接戦区を除く残りは全て共に民主党が優勢と分析していた。また各種世論調査でも同様の傾向が浮き彫りになり、地上波3局合同の出口調査ではソウルを含む11カ所で与党優勢だった。
ところが、ソウルは開票が進むにつれ、現職で国民の力の呉世勲氏が与党の鄭愿伍氏との差を縮め、最終的に約1ポイント差で大逆転。もともと地盤だった南東部では、慶尚北道以外にも大邱市と慶尚南道で勝利するなど、与党圧勝ムードを跳ね返した。
再・補欠選では、二大注目区のいずれも保守系が当選を果たした。このうち釜山市(北区)では元国民の力代表の韓東勲氏が激戦を制して当選。革新系が候補一本化に失敗して三つどもえの戦いとなった平澤市(京畿道)では、漁夫の利を得るように保守系候補が当選した。
地方選も再・補欠選も全体の勝敗数では「与党勝利」と言えるが、中身を見ると保守にとってまんざらでもない結果となった。選挙分析に詳しい時代精神研究所の厳●■所長は「呉氏と韓氏が勝ったことで、2人を中心に保守再編が動きだす可能性が出てきた」と指摘する。
保守派は尹錫悦大統領(当時)による非常戒厳宣言とその後の弾劾などでダメージを受け、立て直しが遅れたまま。国民の力の張東赫代表も尹氏復帰を望む「尹アゲイン」派を支持母体に迎え入れ、広く世論の支持を受けられずにいた。呉氏と韓氏は尹アゲイン路線に否定的なため、今後、同党での発言力が増した場合、「尹アゲイン派は自然に勢いを失い、保守派が尹アゲインを克服して求心力を回復させる」(厳氏)可能性もある。
呉氏、韓氏の当選に革新陣営も警戒気味だ。文在寅元大統領ら革新系政治家にも影響力を持つユーチューバーの金於俊氏は、自身のチャンネルで「ソウルは逆転された。どうしたらいいのか。保守陣営は呉氏、韓氏という大統領候補クラスが2人も(選挙で)生き残った」と嘆いた。
与党にとって今回の選挙は、数の上で保守を圧倒したことへの達成感より、ソウルなど重点区で痛い負けを喫した後味の悪さの方が残り、李大統領の国政運営に弾みがつくかは不透明。与党は地方選で一時保留状態にあった、李氏の裁判とも関連する「起訴取り下げ」法案を再び推進するとみられるが、世論が再び反発するのは必至だ。こうした独裁政治は保守にとって一種の敵失となり、逆に勢いづくとの見方もある。
ある国民の力関係者はこう指摘する。
「まだ先の話だが、呉・韓両氏のうち仮に党に所属する呉氏が次期大統領候補として保守陣営の中心に立てそうだという確信を植え付けることができた場合、李大統領の暴政に対する反発と相まって保守系大統領が誕生する可能性は高まる。かつて李明博、朴槿恵両大統領も同じような状況が作り出された結果、当選を果たした」
当面の課題は、国民の力が保守再起の種火をどこまで生かせるか。張代表の辞任が不可欠との声も上がっているが、張氏自身は続投の構えを見せており、保守陣営は波乱含みだ。
●=土偏に同
■=火偏に英






