【ポイント解説】「6月民主抗争」に障った
騒動の発端はスターバックスが売り出したタンク(大型タンブラー)の謳(うた)い文句が、学生拷問死事件の時の言い訳に似ていたということだった。
事件は1987年1月に起こった。「南営洞対共分室」という治安本部の主に共産主義活動を取り締まる秘密尋問施設で、当時ソウル大生だった朴鍾哲氏が水攻めの最中に死亡した。この事件をきっかけに軍事政権への批判が拡大し、大学を中心に全国に「民主化要求デモ」が広がった。
6月、ソウルの延世大ではデモの最中、催涙弾の頭への直撃を受けた学生の李韓烈氏が負傷し、後に死亡する事件が発生。全斗煥政権は糾弾に堪えられなくなって、ついに6月29日、軍服を脱いで与党の代表委員になっていた盧泰愚氏が「民主化宣言」を出して大統領直接選挙などを約束した。
これらを「6月民主抗争」と呼び、韓国が民主化に大きく舵(かじ)を切った歴史的出来事として韓国民は記憶している。そのきっかけが「机をポンと叩(たた)いたら」という南営洞の苦しい言い訳だったのだ。
スターバックスは大きなタンブラーをタンクシリーズの一環として割引販売していたが、タンクが戦車を、「ポンと…」のフレーズが拷問死を連想させたこと、さらに6月が近かったことで韓国民の反発を買ったというわけだ。
意図したことではないだろうが、この反発騒動は、6月3日の総選挙を前に、民主化運動の流れを汲(く)む今の左派与党勢力に有利に働く、という見方もある。とはいえ、これがなくても保守野党に劣勢を挽回する見込みはないが。
時節柄だろうか、民主抗争を題材にした映画「1987、ある闘いの真実」(原題「1987」、2017年)が地上波や衛星放送で放映された。日本の終戦の日前後に関連番組が流れるように。
(岩崎 哲)





