韓国紙セゲイルボ「社説」

北朝鮮が社会主義憲法を改正して領土条項を新設した。1948年9月、最高人民会議で初めて憲法を採択した後、何度も改正を行ってきたが、領土条項を新設したのは今回が初めてだ。金正恩総書記は2024年1月、最高人民会議で憲法に領土・領海・領空を規定する条項を作るよう指示していた。先に金総書記が提示した「敵対的2国家論」路線が、憲法レベルで公式化したわけだ。南北関係を恒久的な2国家関係に固定化しようとする意図で、韓半島の安全保障環境の一大変化だ。
6日、統一部(部は省に相当)記者団対象の専門家懇談会で公開された北朝鮮の新憲法全文によると、新しい領土条項は、「朝鮮民主主義人民共和国の領域は、北側で中華人民共和国とロシア連邦、南側で大韓民国と接している領土と、それに基づいて設定された領海と領空を含む」と明示した。既存の北朝鮮憲法の序文・本文にあった「北半部」、「祖国統一」、「社会主義の完全な勝利」など、同族関係と統一概念は全て消えた。6・25韓国動乱以降、互いに体制競争をしながらも維持していた「一つの民族」というアイデンティティー自体を取り除いたもので、残念なことだ。
北朝鮮が領土条項を新設しながらも、南側の陸・海上の境界線は具体的に言及しなかった点は、注目する必要がある。南北が画定した海上境界線には大きな違いがある。紛争の素地をなくすために戦略的あいまい性を維持したものと解釈される。金総書記は24年1月、憲法改正の方向について「大韓民国を『第一の敵対国』『不変の主敵』と見なすように明示するのが正しい」と述べたが、こうした文言は憲法に明記されなかった。南北が、平和共存しながら交流・協力の道に入ることができる端緒になることを期待する。
北朝鮮が憲法上、領土条項の新設を契機に、南北の境界線があいまいな西海(黄海)で局地挑発を敢行する可能性も排除できない。特に「韓半島の火薬庫」と呼ばれる西海北方限界線(NLL)上での偶発的な衝突を見過ごしてはならない。政府は接境地の住民の安全確保に万全を期すべきである。北朝鮮憲法の領土条項は「大韓民国の領土を韓半島とその付属島嶼(とうしょ)」と規定する韓国憲法の領土条項と衝突する。韓国憲法の領土条項改正問題が論争の的になることは、あってはならない。誰が見ても、北朝鮮が企図する南南対立戦略ではないだろうか。北朝鮮の2国家論の基調が強化されるほど必要なのは、韓米同盟に基づいた堅固な安保態勢だ。最近の情報共有論議のように、不必要な対立で北朝鮮の誤判断を招いてはならない。
(5月7日付)
「セゲイルボ」





