韓国が電子入国申告システムで、台湾を「中国(台湾)」と表記したことに台湾側が強く反発。入国カードで韓国を「南韓」と表記するなどの対抗措置を取って、外交問題に発展した。現在は韓国側が表記自体を削除して、事を収めた格好だが、台湾側は「南韓」表記を続けており、しこりは残ったままだ。
韓国と台湾は共に自由民主主義陣営に立ち、経済でも安全保障でも連携していかなければならない関係である。その一方で、中国とは正式外交関係があり、貿易取引が圧倒的に多い韓国としては「一つの中国」政策を尊重した姿勢を示しておかねばならず、北京と台北間の板挟みの中で微妙なバランス外交を続けている。
李在明大統領が台湾海峡問題について「韓国と何の関係があるか」と言い放ち、中国にも台湾にも「謝謝と言っておけばいい」と発言したのも、そんなポジションを反映したものだ。
韓国の保守メディアの中には、こうした左派政権の姿勢に対して、台湾の重要性を再認識させ、韓国は台湾と「運命共同体」であることを強調し、左に傾いた認識を引き戻そうとする企画が見られる。保守陣営の危機意識が反映したものだろう。
東亜日報が出す月刊誌新東亜(5月号)に駐韓台北代表部の丘高偉代表(大使)インタビューが載った。丘代表は韓国が一方的に台湾との断交を通告した時(1992年)、釜山副領事として「最後の国旗降納式を見守りながら」「冷酷な国際社会の現実を体験」した人物である。「江山が3回変わる歳月が流れ」(約30年が経過し)て、今度はソウルに大使として戻ってきた。
同誌は韓国と台湾の共通点を挙げて、似通った双方の境遇からしても、緊密に連携していくべき関係にあることを改めて想起させている。儒教文化、日本植民地、貧国から富国に、権威主義体制から民主化、などといった点だ。
特に「中国変数は韓国にも作用する」として、安保問題では「米国と日本など自由民主主義の友邦と連携を強化しなければならない」とし、なぜそれが重要かという点について、「中国が台湾に侵攻しようとする時、北朝鮮を煽(あお)って韓国を攻撃させ、米国が同時に二つの戦争に介入しなければならないジレンマに封じ込める」可能性があるからだとしている。
だから「域内安保の側面で台湾と朝鮮半島は切り離せない関係」なのだと強調するわけだ。「台湾海峡紛争は他人事(ひとごと)で、関与してはならない」という李大統領の認識について、丘代表は「絶対そうではない」と強く反論した。
丘代表は他に「1932年、尹奉吉義士の上海虹口公園での義挙(上海天長節爆弾事件)を契機に中華民国政府と大韓民国臨時政府の縁は始まり、曲折はあったが100年近い友誼(ゆうぎ)を継続している」として、「両国政府はこの事実を記憶してほしい」と念を押した。
ともすれば、韓国政府は中華人民共和国と大韓民国が「抗日」していたという虚偽を根拠に手を組もうとするが、当時中華人民共和国は成立しておらず、また臨時政府は世界のどこからも認められていなかった。この虚構に比べれば上海天長節爆弾事件はよほど「100年の友誼」の起算にはなる。





