
封鎖されているホルムズ海峡で韓国貨物船が何者かによって攻撃された。トランプ米大統領は即座に「イランによる攻撃」と断じたが、当初の韓国政府の発表は「爆発・火災が発生」と奥歯に物が挟まったような見解だった。
韓国政府は10日になってやっと「攻撃」と認めたが、「1分間隔で飛来した」2発の「正体不明の飛翔体」がイランによるものとは断定していない。
ホルムズ海峡では約800隻の船が足止めされているという。そのうち日本船は44~45隻。約3分の2が原油タンカーや液化天然ガス(LNG)運搬船だ。この厳しい“封じ込め”の中を5隻の日本船が攻撃されることなく無事通過した。LNG運搬船が3隻と出光興産子会社などの原油タンカー2隻だ。
これに対して同じく石油の大部分を中東に頼る韓国は1滴の原油も通せていない。それどころか、攻撃まで受けてしまった。日本船が通過した時点で、韓国世論は「外交の天才(=李在明大統領)はどこで何をしているのか」と批判した。攻撃を受けたことが明らかになると、野党からは「弱腰外交」「口先だけの軍事強国」との非難が噴出した。一昨年の尹錫悦大統領(当時)による非常戒厳、それに続く弾劾事態以来、守勢に回っていた野党としては、6月3日に地方選挙を控えていることもあって、格好の政府与党攻撃の材料を得たわけだ。
しかし「国難」とも言うべき時に、政府批判ばかりしてはいられない。米国とイランの板挟みになって動きが取れないのは与党も野党も関係なく、韓国自身なのであり、共に打開策を模索しなければならない立場だ。米国の有志連合に付くか、イランとの関係を模索するか。
月刊朝鮮(5月号)が金珍祐西江大教授にインタビューしている。金教授は「米国務省・国防総省など政府部署とさまざまな研究所で働き、核兵器政策に深く関わってきた」専門家だ。
金教授は韓国は「大きな機会を逃した」という。トランプ米大統領は韓国に2度も協力を呼び掛けていたが、韓国はこれに応えなかった。「英国が米国のホルムズ海峡防衛作戦への参加要求を拒否した時、韓国が支援の意思を明らかにしていれば…」と金教授は無念さを隠さない。
米国は韓国動乱(1950年)に軍隊を派遣して「多くの若者が韓国のために血を流した」国である。その米国が韓国に支援を要請した時、応えなかったら「当然不快に思うだろう」とし、「米国の立場でどうして韓国を信じられるだろうか。もし北朝鮮が南侵しても『韓国人同士の戦いだ』と、米国が無視しても何も言えない」と懸念を示した。
日本もトランプ大統領から名指しで有志連合への協力を期待されたが、日本には「言い訳がある」と金教授は言う。「憲法9条の制約」だ。もし日本が「存立危機事態」だと判断し自衛隊を派遣すれば、それはそれで韓国は穏やかではないだろう。だから韓国は「日本は応えていない」と、おおっぴらな批判は控えているのだ。
同誌は金教授に「今回の戦争で韓国が学ぶべきこと」を聞いている。「米国がどのように戦争するのかを学ばなければならない」との答えだ。「核戦略やセカンドストライク(敵が先に核攻撃しても生き残り、再び核報復できる能力)を簡単に口にしてはならない」として、戦争の細部、交渉の進め方などを指した。韓国がこの点を学んでどこで生かすつもりなのか不明だが。
記事で金教授が「中国製武器の性能が明らかになった」と述べているのが興味深い。イランが使う中国製武器では米・イスラエルの攻撃を防げなかったことを指しているのだろう。これは同時に中国製武器に頼る北朝鮮も、それを使っている中国自身もショックな事実に違いない。
韓国が「イランによる攻撃」と認めたがらないのは、イランとの“ある因縁”があるからである。韓国は長年イランに原油代など「60億ドル」に上る未払いを抱えていた。再三にわたる支払い要求にもかかわらず約4年放置状態だった。その間にイラン制裁が始まり、返すに返せない状況で、イランはついに昨年、国際仲裁手続きを取った。未払いと攻撃、米国への協力躊躇(ちゅうちょ)との関連は明らかになっていないが、韓国の出口は見えない。





