
左派系の与党「共に民主党」46%、保守系の最大野党「国民の力」20%(17~19日、世論調査機関・韓国ギャラップ実施)。
これは直近の政党別支持率だ。与党を支持しない有権者は調査に応じない傾向があり、実態を正確に反映していないとの指摘もあるが、このところ与党の優勢は続いている。
今月9日、国民の力は「尹錫悦前大統領の政治的復帰を求める一切の主張にも明白に反対する」という決議文を発表した。いわゆる「尹アゲイン」派との絶縁宣言だ。
「尹アゲイン」派を支持母体としてきたのは他ならぬ同党の張東赫代表だったが、求心力を失いつつある「尹アゲイン」派と距離を置かなければ、地方選での勝利はおぼつかないと判断したためだ。「尹アゲイン」路線で最後まで突き進み、その結果、選挙に負ければ責任を問われる。あらかじめそこから逃れようという思惑もあったとされる。
だが、言葉とは裏腹に全国17広域自治体首長選などの公認候補選びを行う選挙管理委員会には依然として「尹アゲイン」派が残ったため、「口先だけの絶縁」(韓国メディア)と批判された。党団結をアピールできないままだ。
6月の統一地方選は、10カ所近くに及ぶとも言われる国会議員の補欠選挙も同時に実施され、李在明政権に対する中間評価の意味も持つ。だが、国民の力の苦戦は必至とみられ、一時優位とみられていたソウル市や保守の地盤であったはずの慶尚道(南東部)も危ういという見方が出始めている。
韓国の政治情勢に詳しい時代精神研究所の厳垌煐所長はこう指摘する。
「張代表が地方選後に再信任を得るには、絶対的地盤である大邱と慶尚北道の他に1~2カ所で勝つ必要がありそうだ。その可能性がある地域がソウル、釜山、慶尚南道。計3カ所以上で勝てば、全体として負けても『善戦した』と弁明できる」
一方、国民の力のある元国会議員はもっと悲観的だ。
「与党が17カ所で全勝する可能性も否定できない。最大の注目区と言えるソウルは組織力に勝る与党が優勢。われわれは現職の呉世勲市長や韓東勲・前国民の力代表を支持する組織と、張代表を支持する組織に割れている。尹氏復帰を巡る路線対立がここにも影を落としている」(同元議員)
呉市長は保守派が担ぎたい有力な次期大統領候補の一人。本来なら保守が団結して再選を後押しし、呉氏が大統領選に弾みをつけるシナリオも描けるはずだが、ここでも党内分裂がその道を阻んでいる。
朴槿恵元大統領の弾劾後も保守派は壊滅的ダメージを受けた。尹氏の場合、戒厳令という悪手で政治危機を自ら招いたとはいえ、同じ弾劾でも保守が受けたダメージがはるかに大きく見えるのはなぜなのか。
前出の厳氏は近著『本物の李在明 偽物の李在明』の中でこう記している。
「保守は李在明のことをよく知らない。李在明の苦痛が彼の権力欲の源泉だということを。李在明のように(少年工時代に虐げられた)極端な苦痛を経験した人は多くない。苦痛なく育った人たちは多くが創造の源泉、成長の動力を見出すのに苦労する」
そして大統領という国の頂点に立った李氏は、さらなる高みを目指していると厳氏は言う。
「李在明は権力欲それ自体だ。言うなれば権力の化身」「李在明が夢見る革命は既得権交代であり、それは(社会の)主流交代だ」(以上、同書より)
三権を事実上掌握し、自身に降り掛かる不正疑惑で〝無罪〟判決を勝ち取るシステムを構築、改憲で長期執権までもくろむ李氏を前にし、保守は立ちすくむしかないのか。
信仰深い羊飼いの少年ダビデが巨人兵士ゴリアテを倒す旧約聖書の物語のごとく、萎縮する韓国保守が巨大化した韓国左派政権を克服する道筋はまだ見えない。
(ソウル上田勇実)







