

昨年の就任以来、司法を意のままに操る法改正など国内で独裁色を強める韓国の李在明大統領。だが、これに対抗する保守派は分裂したままで、約2カ月後に迫った統一地方選挙の見通しも暗い。昨年12月の本紙連載に続き、韓国保守が再起する可能性を探った。初回は今年1月、李氏の暴政に対する糾弾本『李在明の反乱』を緊急出版した張詠寛氏に、書き下ろしの経緯や読者に訴えたいことなどを聞いた。(ソウル上田勇実、写真も)
――非常に刺激的なタイトルの本だ。韓国政治に関心を抱くようになった経緯は。
韓国が中国と国交正常化した前年の1991年、私は中国へ渡り、会社員生活を経て、韓国大企業向けの作業服などを製造する事業を立ち上げた。中国で事業をするには当局との関係を良好に保つ必要があるが、その過程で共産党員の考え方を観察するようになり、韓国との違いに関心を抱いた。社会主義、共産主義の問題や矛盾がはっきり分かるようになったが、そういう視点で韓国を見ると、社会主義国家への道を進んでいるように思えた。
最初に書いた本は『大統領になったスパイ』(2024年)。文在寅大統領を批判したものだ。当時、朴槿恵大統領を弾劾に追い込んだ勢力の本質は、親北左派による一種の革命であり、反乱だということを強調した。それから8年が経過し、今度は数々の犯罪疑惑にまみれる李在明氏が親北左派と結託し、尹錫悦大統領を弾劾に追い込むという、「第二の革命・反乱」が起きている。このことを国民に知らせたいと思い、筆を執った。
――韓国社会の左傾化が懸念されている。著書ではこの点にどう言及したか。
次のようなくだりがある。
「韓国憲法に明示された自由民主主義と市場経済を守り、発展させるのは保守の存立基盤であり、基本目標だ。しかし、韓国を左派の国に変えるための闘争を建国80年の歴史で一瞬たりともやめたことがない左派は、今あらゆる領域を占領している。彼らの革命は成功し、今や完成を目前にしている」(同書240㌻)
左派は盧武鉉政権時にオンラインを活用して理念を浸透させた。金持ち、社会的地位を得た人などに対する漠然とした敵対感情を抱くムードを醸成した。自由民主主義と中国や北朝鮮が唱える人民民主主義を区別できない人も少なくない。
――一部の保守系メディアでは鋭い李政権批判も見られる。多くの問題点が浮き彫りになっていながら、なぜ国民は立ち上がらないのか。
李氏は大衆心理を巧みに突いている。兵役の期間短縮や国民への一時金支給、はたまた男性有権者向けに脱毛治療薬(脱毛剤)の健康保険適用を検討させた。全ては選挙用。兵役短縮は訓練不足の兵士を生み出す深刻な問題につながることを国民は直視しようとしない。
かつて李氏が義姉に罵詈(ばり)雑言を吐き続けた通話記録が出回ったが、それを聞いただけでも李在明という人は指導者には不適格と感じるのが普通だ。にもかかわらず大統領になった。李氏を巡る「不都合な事実」を韓国人は意外に知らない。
――韓国保守が再起するには何が必要か。
今韓国で起きていることは、自由民主主義を守る側と事実上の全体主義に向かう側の体制間戦争だという事実を国会議員をはじめ多くの人が認識すべきだ。左派革命を退けるには、保身ばかり考えるエリート型政治家は第一線を退いてもらい、闘争型政治家に大挙交代してもらうことが必要だ。
――左派が国を牛耳ろうとする中、同書に対する批判も少なくないのでは。
本の輸送費や物流費を巡り業者から圧力がかかっている。書店も嫌がらせや不利益を恐れ、本を置いてくれない。「生きている(現職の)権力」を真っ向から批判するとは、こういうことなのだろう。それでも多くの人たちから激励された。一民間人だからこそできることもある。次は李氏が6月に就任1年を迎えるのに合わせ、糾弾本の第2弾を出版するつもりだ。






