高市早苗総裁率いる自民党が衆院選で安定多数を取る大勝利をしたことに韓国は強い関心を寄せている。これまで「強硬保守」「第2の安倍晋三」などと警戒感を隠さなかった人物が衆議院で多数を手にしたことで、日本は「右傾化」を強め、韓国や近隣諸国に対して強硬姿勢を取ってくるのではないかと強く身構えていた。
ところが、李在明大統領との会談、李大統領の日本訪問を見て、韓国民は高市首相への好感度を上げたという。昨年10月30日、慶州で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で李大統領と初会談した際、高市首相は韓国国旗に一礼して李氏の横に立った。この何気ない所作が韓国民の心を捉えた。
今年1月13日には訪日した李大統領を高市首相は地元奈良で出迎え、法隆寺などを訪問した。故郷に客人を迎えるのは相手への「深い敬意と信頼の証し」と言われる。この接遇に対して、李大統領は次回のシャトル外交では自身の出身地である慶尚北道安東に高市首相を招待するとして、それに応えた。
こうしたやりとりは、相変わらず「慰安婦」「徴用工」「竹島(韓国では独島)」などの問題を抱えながらも、それが両国間の鋭い対立点として表面化しないよう「管理」していこうという共感が形成されていることを示すものだ。
韓国では衆院選も制し、日韓関係も安定させた高市政権の分析が行われている。「保守の崩壊」が進んでいる韓国にしてみれば、隣国日本の保守の躍進、巨大化は関心を向けざるを得ない課題である。
月刊朝鮮(3月号)は「高市の総選挙圧勝と韓国政治に与える意味」を載せた。同誌は日本メディアの論調や日本在住韓国人研究者の見解を聞きながら、自民大勝の理由を探った。韓国から見て、最も大きな勝因は日本人が抱いている「危機感」だという点に注目している。韓国の保守に不足している部分だ。
中国、北朝鮮などの軍事的脅威への警戒感と「沈没していく日本」への危機感が保守層のみならず中間層へも強く浸透し、その日本を率いていく強いリーダーを待望する空気があったという分析は正しい。
それに「勝っても増長しない」高市首相の姿勢も、韓国民からしたら珍しく映る。韓国は権力者は権力者らしく、言い換えれば尊大に構えていなければならない権威社会だ。謙虚な姿勢は逆に弱気とみられ見くびられる。
その伝で言えば、高市首相は絶対多数を手にして当然、強権的な政治をするとみるのが韓国の常識だが、逆に抑制的で節制した姿勢で高市氏は国政に臨んでおり、同誌はそれをちゃんと伝えている。
韓国では「保守の崩壊」が進んでいる。その韓国保守が日本から学ばなければならない点として、同誌は「自民党の最大の特徴は内部スペクトルが非常に広いという点だ。強硬保守からリベラルまで共存し、党内で事実上の政権交代が行われている。その柔軟性が長期政権維持の原動力だ」と日本の識者の分析を紹介した。
しかし、韓国は歴史的に多様性を許容できない社会だった。長く中央政権が続き、特徴ある地方も育ちにくかった。一つの価値、一色に染まることが多い中で、政党内で「右から左まで」許容できるかどうかは疑問が残る。






