トップ国際朝鮮半島巫俗で読む韓国社会・韓国政治 シャーマニズムが根底に【論壇時評】

巫俗で読む韓国社会・韓国政治 シャーマニズムが根底に【論壇時評】

 韓国ではキリスト教が盛んで夜の街にはネオンで光る十字架がそこここに現れる。人口の約3割が信徒だという。仏教徒も多く、大学修学能力試験の時には寺院の前で必死に祈る保護者たちのシーンがメディアに必ず登場する。日曜礼拝や法話会などに熱心に通うほど韓国人の宗教心は篤(あつ)い。

 一方で生活習慣や人間関係には儒教の影響が色濃く残り、長幼の序や親孝行、男尊女卑、勤勉さなどが社会規範として韓国人の生活を強く規定している。

 それら上層(宗教)、中間層(儒教)とは別に最底部、基層に巫俗(ふぞく)が横たわっている。病気、引っ越し、就職、結婚、墓地決めなど、“迷信”として退ける人は一定数いるかもしれないが、巫女(ムーダン=シャーマン)が儀式(クッ=お祓(はら)い)を行って託宣を聞く習慣は残っている。

 これを少し科学的にしたのが易術(四柱)で、政治家や経営者などが物事を決断する時に易術家に卦(け)を見てもらう。歴代大統領の多くは、こうした易術家が“指南役”として背後にいた。

 月刊朝鮮(1月号)に「巫俗で読む韓国社会・韓国政治」の記事が載っている。これは古代中国の諸子百家や儒教など、東洋哲学の研究者である作家・林建淳(イムゴンスン)氏による「韓国型巫俗政治学」の書評で、評者は同誌編集長の裴振栄(ペジニョン)氏だ。

 日本でも政界に強い発言力のある占い師がいると聞くが、「巫俗」に頼る度合いは韓国に遠く及ばない。つい最近も「尹錫悦前大統領夫人の金建希(キムゴニ)氏の近くには、乾真法師(コンジンポプサ)」という占い師がいて、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)幹部が金建希夫人にブランドバッグなどを渡す橋渡し役を演じたと報じられた。朴槿恵大統領(当時)は青瓦台でお祓いをしていて、占い師のアドバイスを受けたのか、「就任式の時に登場した『五方嚢(のう)(巾着袋)』は陰陽五行説に基づく宇宙の気運を象徴するお守りだという話が出た」という。

 「著者はこの本の中で韓国人の意識を支配するキーワードとして『巫俗』を挙げ、これをもって韓国社会と文化、さらに韓国政治ゲームの法則を説明する」とし、「例えば、セウォル号や梨泰院惨事の過度な政治化は『共感という名の接神』」だったと裴編集長は書いている。

 「接神」とは巫女が神や霊を自分の体に降ろして入神状態になることだ。つまり、冷静で合理的な捉え方ではなく、集団で何かに取り憑(つ)かれたように一方向の解釈で突き進んでいってしまうことを意味していよう。

 こうした林建淳氏の分析手法を裴氏は「日本の韓国学者小倉紀藏が『韓国は一個の哲学である』(講談社現代新書、1998年)で儒教と性理学の核心論理で韓国社会を見事に分析したことを連想させる」と説明する。

 そして「21世紀、世界10大経済強国、先端技術強国を自負する大韓民国で行われているこのような現象をどのように解釈すべきか」と問う。政界と宗教界を巻き込む一大スキャンダルに易術家が絡んでいた。しかも、少なからず歴代政権の裏で彼らの役割が小さくなかったことを考えると、“迷信”と易学(つまり統計学)が韓国人の精神から行動にまで、強い影響を与えている様子が伝わってくる。

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