トップ国際朝鮮半島韓国・李政権 対北政策巡り内部対立 米国抜き主張する「自主派」 

韓国・李政権 対北政策巡り内部対立 米国抜き主張する「自主派」 

19日、政府総合庁舎別館で李在明大統領に業務報告する鄭東泳・統一相(韓国テレビより)
19日、政府総合庁舎別館で李在明大統領に業務報告する鄭東泳・統一相(韓国テレビより)

 韓国・李在明政権の対北朝鮮政策を巡り、融和路線のいわゆる「自主派」と米国との協力を重視するいわゆる「同盟派」の内部対立が表面化している。混乱収拾に乗り出すべき李氏自身は南北融和論者であるため、今後は「自主派」の発言力が増すとの見方が強まっている。(ソウル上田勇実)

 「自主派」の代表格とも言われる鄭東泳統一相はこのところ、対北政策を巡る「米国抜き」の主張が目立ち始めている。

 鄭氏は先月25日、南北問題について「米国の承認と決済を待つという官僚的発想では解決できないのが朝鮮半島問題の特性」とし、「自己決定権」だと主張した。また米朝首脳会談の実現と関連し、「韓米合同軍事演習の調整(縮小)が不可避だ」(先月8日)と述べ、国連が非武装地帯(DMZ)への立ち入り許可権を持っていることに対し、「(韓国が)領土主権を行使すべき地域での立ち入り規制は、主権国家としてメンツが立たない」(今月3日)などと批判した。

 こうした発言に対し、「同盟派」と称される魏聖洛・大統領室国家安保室長や外交省は米韓協力の必要性を重ねて強調している。

 魏氏は米朝首脳会談に向けた米韓合同演習の縮小を「直接カードにするつもりはない」(今月7日)とくぎを刺した。また外交省報道官は「この間、韓米は対北政策の調整に向け緊密に疎通してきた。両国外交当局間にこうした疎通をより体系的、定例的に発展させていこうという共通認識がある」(今月11日)と述べ、事実上、鄭統一相を牽制(けんせい)した。

 「自主派」と「同盟派」との対立は、李氏自身が北朝鮮や中国との関係強化を「自主派」に、また日米との協力維持を「同盟派」に託した、いわばダブルスタンダード人事がもたらした、予見された結果とも言える。

 さらに想定されるのは最終的に「自主派」の発言力が上回るということだ。南北問題に詳しい南成旭・元高麗大学教授は「李大統領自身は米国との合同軍事演習をやめるべきだと言うなど、その“DNA”は南北融和主義。どんどん『自主派』の声が大きくなり、いずれ『同盟派』は没落するかもしれない」と指摘する。

 李氏はもともと親北朝鮮の理念に傾倒した左翼学生運動とは無縁だったが、弁護士時代や市長時代にそうした運動に関わった人たちの支援などを受けながら出世した。気づけば自身を大統領に押し上げた支持基盤には、学生運動出身者たちが大勢いる。

 一方、「同盟派」は米国や日本との協力関係を維持するという「実用」のために起用されたにすぎず、反米・反日発言を繰り返した李氏の“DNA”とは一致しない。こと対北政策においては「自主派」に主導権を握られる可能性が高い。

 就任から半年がたち、李氏が徐々に本音をのぞかせ始めた機を捉えたかのように、左派政権時の歴代統一相らは15日、声明で「外交省が主導する韓米ワーキンググループを稼働させる計画を中断させ、統一省が中心になって南北関係再開の方法を見いだすべきだ」と促した。さらに学生運動出身の鄭清来・与党「共に民主党」代表も17日、統一省中心の南北政策を支持。19日の外交省、統一省による李氏への業務報告は「統一省の『自主派』が政策主導権を握るかたちで終わった」(韓国紙)。

 今後は、トランプ米大統領がノーベル平和賞の受賞を意識し、再び金正恩総書記との首脳会談のチャンスをうかがうことが予想される。李氏は来年初めに訪中する意向を示しており、その場で李氏は習近平国家主席に、金正恩氏に米朝首脳会談に応じるよう説得を頼む可能性がある。

 「非核化を議題から外し、核軍縮で成果を挙げたように見せ、トランプ氏は平和賞を、また李氏は南北融和再開につなげる」(南元教授)という筋書きを「自主派」が描いているとしても不思議ではない。

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