トップ国際朝鮮半島高市首相を見る韓国 「優しい笑顔」の下の原則と信念

高市首相を見る韓国 「優しい笑顔」の下の原則と信念

韓国編 岩崎 哲

 韓国での高市早苗首相の評判はどうだろうか。「安倍政治の後継者」「極右」などと候補時代には警戒感を持って見られていたが、首相に就任し、現実の政治を動かしている新首相の言動、さらには李在明大統領との関係などを見て、韓国は改めてどう評価しているのだろうか。

 月刊朝鮮(12月号)で劉敏鎬(ユミノ)パシフィック21ディレクターが「『優しい笑顔』の下の原則と信念…『ジャパンファースト』を推し進める」の原稿を寄せている。劉氏は松下政経塾(15期)で学んだ日本通として知られる。高市氏の10期後輩に当たる。

 高市首相が就任直後のご祝儀相場を越えて高空飛行を続けていることは、韓国でも高い関心を集めている。その理由を劉氏は「ジャパンファースト」の姿勢だと説明する。高市氏が政策として公式の場で「ジャパンファースト」と言ったことはないが、「誇らしい日本外交を全世界に伝播(でんぱ)する」などの発言から劉氏はこれと同等だと解釈しているようだ。

 その高市首相が訪日したトランプ米大統領と横須賀海軍基地を訪れ、米空母ジョージ・ワシントンの艦上で2人並んで米兵士を前に演説した姿は、韓国にとっては「羨(うらや)ましい」ものに映ったに違いない。その直後に訪れた韓国でトランプ氏は慶州アジア太平洋経済協力会議(APEC)を素通りし、李在明大統領とは「非公式会談」しかしなかった。横須賀で新首相の腕を取って親密度を世界に見せつけた姿とは大きな差があったからだ。

 「強い(立場の)日本」に対する警戒感は韓国には根深くある。劉氏は「東アジアの歴史を振り返ってみると、日本が自己主張を強く繰り広げた場合、良くも悪くもその余波はすぐに朝鮮半島に押し寄せてくる」と述べる。東アジアに揺れが来るとの予想だ。

 波はすぐに来た。高市首相の「台湾有事」発言をきっかけに始まった中国の対日批判と軍事示威行動だ。これを見る韓国は「どちらの味方もしない」と“中立的”立場を取り、経済的安定と地域安全保障の観点から国益の維持に全神経を注いでいる。同時に、日本が折れるかどうかを李政権は注視しているだろう。

 この原稿は日中対立が始まる前に書かれたものだろうが、偶然いいタイミングで高市氏を紹介することになった。高市氏は1984年に松下政経塾に入った5期生で、当時の女性比率は10%。当初は政治家志望ではなかったというが、入塾1年半後には政界入りを決心した。きっかけは松下幸之助氏の「今後5年以降、地球全体に大きな変化が現れるだろう」という予測だった。「自分が未来の日本で何をすべきか」を考えたのだという。

 高市氏が政治家としての能力を発揮し始めたのは第2次安倍内閣で自民党の政務調査会長を任された時だ。「『ひどい仕事中毒』で有名だ。当時、自民党本部に住み込んでいたと言われるほどだった」と紹介し、いったん「政策論争に入ると、彼女を凌駕(りょうが)できる人が日本列島を探しても数人いるかどうかだ」と劉氏は持ち上げている。

 この時期、自ら政策を勉強したことで「体得した“仕事の虫”としての確信」が「『原則と信念の政治家』高市の基盤だ」と書いている。

 韓国でも政治家は政策の勉強会を持つが、それは「集まって騒いで飲みながら勢いを誇示する」程度のものだというから、中身が全く違う。劉氏はこの高市氏を相手にするのなら、「21世紀の日本に対する認識から新たにすることが必要だ」と説く。実用外交を標榜(ひょうぼう)する李在明大統領の覚悟が重要だとの指摘である。

 安倍晋三元首相が韓国から警戒されたのは日本を「普通の国にする」としたからだ。憲法を改正し、軍事力を保持し、外交力を発揮する。そんな日本を恐れた。高市氏も同じことをしようとしている。早速中国と摩擦が生じた。韓国は左派政権が執っているが、選ぶべき道は自由世界に留(とど)まり、協力関係を強化する以外にない。「優しい笑顔」の下にある原則と信念とどう向き合うか、李在明大統領の「実用外交」を問う記事である。

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