またぞろ韓国で「核武装論」が頭をもたげてきた。米国が同盟各国の駐留米軍を縮小し、当該国の自国防衛と地域防衛への貢献を促している中で、韓国は、日本で高市早苗政権が誕生して「日米間の核共有構想」に弾みがつくと予想し、さらに「自国核武装に対する議論も参政党を通じて広がっている」状況で、韓国はこの流れに後れを取るなというものだ。
月刊朝鮮(11月号)で米ワシントンのエネルギーコンサルティング「パシフィック21」ディレクターの劉敏鎬(ユミノ)氏が「日米のインド太平洋戦略と韓国の核武装」を寄せており、「このような状況で、韓国は核の傘、核共有、自国の核開発の間でどこへ行かなければならないのか」を問うている。
韓国の核武装論だが、これは今に始まったことではない。既に朴正熙大統領時代の1974年、極秘裏に「核兵器技術開発計画890」が動いており、その2年前の72年には軍主導で「核兵器設計作業」が始められていた。だが朴大統領が暗殺され、後に政権の座に就いた全斗煥大統領は米国の支持を取り付けるため、計画断念を条件として差し出したのだった。
今回、韓国で行われた韓米首脳会談で、韓国は念願の「核保有」への一歩を踏み出した。原子力潜水艦建造を米国に“認められた”のである。その次のステップは米韓原子力協定の改定。原潜を動かすには燃料が必要で、これは朴正熙大統領以来の“念願”でもある。
しかし、現状はどうかというと、核の傘すらも心もとない状況である。劉氏は、トランプ米大統領の北大西洋条約機構(NATO)に対する「ノー・コミットメント戦略」から見て、「朝鮮半島に核の傘を建てるという約束がどれほど虚無なのかが推測できる」と説明している。
その代わりとして、トランプ氏が韓国の核武装を支持するという報道が出ているが、劉氏は「絶望的」と断じる。実際に核開発の「議論に入ると、さまざまな法的、身体的、心理的な制限が待っている」からだ。韓国は核拡散防止条約(NPT)加盟国であり、核兵器を開発・保有しないことが義務付けられている。そもそも包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名している。国際原子力機関(IAEA)の監視下にあり、米韓原子力協定によってウラン濃縮や再処理が原則禁止されている。
こうしたハードルを押し切ろうとすれば、北朝鮮のように国連と国際社会から制裁を受け、経済封鎖に遭うことになる。貿易で成り立っている韓国が世界から封鎖されることを想像できるだろうか。
劉氏は、核武装の代替としての核共有で、現実的選択として「日本の核共有議論に参加することが最も現実的な選択肢と思われる」と主張する。「日本と一緒に周囲の脅威に対抗する」ということだ。
これは韓国内で相当な強い反発を招く考え方だろう。だが北朝鮮が中露とがっちり手を組んだ状況で、韓国として取り得る現実的選択は日米との同盟・協力関係を強めること以外に道はない。具体的には日米が核共有を進めるなら、それの下に韓国も“一体として”入ることが合理的だ。「実用外交を取る」といっても左派政権である李在明政権にとって、これこそ最も高いハードルだろうが。





