【ポイント解説】“関税休戦”という天恵
慶州APEC首脳会議議長の李在明大統領のホストぶりは及第点という評価が大勢だ。李氏が掲げる実用外交が発揮された。
特に「安米経中」(安保は米国に、経済は中国と)というご都合主義もいいところの外交方針がきつく責められることもなく、米国とは懸案解決の糸口を導き出し、中国とも対話・交流のきっかけを得たことは十分に評価される。
ただ、韓国が外交的成功を収めたのは李大統領の実用外交など自国の努力もあるが、もっぱら米中の“関税休戦”に依(よ)るというのが実際のところだ。米中が激しく対立をしたまま会議を迎えていれば、韓国は「どちらに付くのか」を厳しく迫られていたはずだし、会議そのものも収拾がつかなかったかもしれない。
米中両国は対立よりも“休戦”を選んだ。APECを主戦場とはせず、当面の衝突を回避し、トランプ米大統領は中国、韓国との首脳会談をしてすぐに帰国し、習近平国家主席は韓国に強く要求することなく、静かに交流再開を約しただけにとどめた。
しかし記事でも指摘しているように米中は「火種」を残したままだ。李大統領も「対中関係は安心できない」と緊張を緩めてはいない。
中国がおとなしかった理由の一つは来年のAPEC開催を控えていること。だから関係悪化の要因を表に出すことは控えた。それに通貨スワップを再開するなど、韓国取り込みの布石も打っている。
韓国は中国の政治的思惑に利用されることには警戒しながらも、経済関係は再開し、拡大して行きたいといったところだろう。したたかに「経中」路線を継続していくつもりである。中国が限韓令を取り下げた理由と背景を分析しておく必要もあり、李政府が「経中」を進める理由を米国や日本に納得させるなど、宿題も残されている。(岩崎 哲)






