トップ国際朝鮮半島韓国 李大統領にも国政介入疑惑か 謎の女性、背後に最側近も 追及回避へドタバタ拘束劇 【ワールドスコープ】

韓国 李大統領にも国政介入疑惑か 謎の女性、背後に最側近も 追及回避へドタバタ拘束劇 【ワールドスコープ】

金ヒョンジ・韓国大統領室第一付属室長=韓国のテレビから
金ヒョンジ・韓国大統領室第一付属室長=韓国のテレビから

 韓国ではこのところ李在明大統領を長年補佐してきた謎の女性側近がにわかに話題となっているが、その背後には別の最側近がいて、李氏が市長や知事、野党党首時代に各種人事などに介入したとの見方も出ている。与党陣営は反李在明派の高位公職者を無理に拘束させて世論の関心を他に向けさせようと躍起だが、野党側は厳しく追及する構えだ。(ソウル上田勇実)

 韓国有力誌が検索サイト最大手ネイバーなどのデータを分析したところ、今月の「秋夕」連休を挟んだ期間(10月3~9日)に検索された「政界関連語」で、「李真淑」(1位)、「金ヒョンジ」(2位)という2人の女性が上位を占めたという。

 李真淑氏は放送・通信や周波数の管理、人事などの権限を持つ大統領直属機関「放送通信委員会」の前委員長。もともと大手テレビ局の記者で、戦場取材を続けるなど気骨ある人として知られる。左派に批判的で、尹錫悦前大統領により同委委員長に指名されたが、政権交代後に一時弾劾訴追され職務停止に追い込まれた後、復職していた。

 その李真淑氏がなぜ検索語1位になったのか。最大の理由は今月2日に突如、警察に拘束され、手錠を掛けられたままテレビカメラの前に姿を現し、その不当性を訴えるという異例の光景を国民が目にしたためだ。

 李真淑氏はユーチューブの番組に出演した際、「共に民主党や左派集団は想像できるありとあらゆることをやる集団」などと発言し、公務員の政治的中立義務に違反したとする容疑が持たれていたが、与党が今月1日に放送通信委の関連法を改正して一方的に李氏を辞職に追い込み、その翌日に拘束。しかし、令状が棄却されるというドタバタ劇が展開された。

李在明大統領(EPA時事)
李在明大統領(EPA時事)

 そして検索語2位の金ヒョンジ氏は、市長に当選する前から李大統領と縁があり、大統領室で予算や人事を総括する総務秘書官でありながら、出身地や学歴などの個人情報が不明で謎めいたところがあった。13日スタートの国政監査で野党からの追及が予想されると、急遽(きゅうきょ)大統領のお世話係である第一付属室長に異動し、さまざまな臆測を呼んでいた。

 興味深いのは、李政権が金ヒョンジ氏に対する疑惑追及の手を緩めさせるため、意図的に李真淑氏を拘束させて世論の関心を金ヒョンジ氏から遠ざけようとしたのではないかとみられていることだ。実際、金ヒョンジ氏に対する追及が続けば、その背後にいる李大統領の最側近を巡る問題が浮上しかねなかった上、李真淑氏拘束もあまりに「拙速だった」(韓国メディア)ため、その真意をいぶかる声が上がっていた。

 保守系の最大野党「国民の力」の宋彦錫・院内代表は9日、あるテレビ番組で金ヒョンジ氏を巡る疑惑と関連し、かつて市民団体で一緒にいた人物をある省庁トップに推薦するなど「国政介入に近い越権行為をしたとみられる」と指摘した。

 またある政治評論家は「金ヒョンジ氏本人もさることながら、李大統領の最側近である鄭ジンサン氏が金ヒョンジ氏を通じて人事に介入したという見方もある」と述べた。

 鄭氏も李大統領を城南市長時代からずっとそばで補佐し、現在は市長時代に手掛けた大型宅地開発を舞台にした不正事件で起訴され勾留中。李大統領が数年前に「側近は」と聞かれ、「鄭ジンサンくらい(自分を支える人)にならなければ、私の側近とは言えない」と答えたほど近い仲だ。

 かつて朴槿恵元大統領は国政介入事件で弾劾・罷免され、朴氏を支えた保守派も逮捕・起訴されていった。李大統領も自分の側近たちに国政介入があるとすれば、朴氏の前例を教訓とし、あの手この手で疑惑を封じ込めようとしてきそうだ。

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