トップ国際朝鮮半島「司法府」圧迫、ここで止めるべきだ 傲慢な権力は国民が必ず審判

「司法府」圧迫、ここで止めるべきだ 傲慢な権力は国民が必ず審判

大統領選投開票日の前日の6月2日、ソウルで集会に参加した革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(EPA時事)
大統領選投開票日の前日の6月2日、ソウルで集会に参加した革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表(EPA時事)

 共に民主党が圧倒的多数の国会議席を占める中で行われた過去2回(第20、21代)の大統領選を控え、「政治の桎梏(しっこく)(束縛)」を懸念する声が少なくなかった。立法権を掌握した民主党が大統領権力まで握れば、国家権力独占の副作用が侮れないということだ。最近の曺喜大大法院長(最高裁長官に相当)退陣要求など、司法府を圧迫する民主党の言動を見ると、これが杞憂(きゆう)ではなかったことが分かる。

 本日(9月30日)、国会法制司法委員会(法司委)所属の民主党議員たちが曺院長の大統領選介入疑惑を調査するための聴聞会を開く。今年5月、大法院が李在明大統領の(公選法違反)事件を二審無罪判決を破棄してソウル高裁に差し戻した過程の妥当性と、曺院長、韓悳洙前首相など4人の密会説の真偽等を直接問いただすというのだ。国会が特定裁判について追及するために大法院長を国会に呼んだことは過去の権威主義政権時代でもなかったことだ。

 今の民主党の歩みは、民主主義の退行を経験した国々で共通して起きている現象を踏襲している。立法・行政府が司法府を不信するという世論戦を展開したり、大法院や憲法裁判所の構成を変えるために判事を増員したりする。また裁判管轄権を変更して別途の裁判所をつくり、判事の任命や評価方式を変えるやり方だ。

 司法改革の必要性に共感しない者はいない。政治的に偏向した判決、露骨な裁判遅延、根深い「前官礼遇」(天下り)まで、正すべきことが一つや二つではない。しかし、いま民主党が行っていることは過去の過ちを正す司法改革とは言えない。改革を名分に掲げるが、その根底にある政治的な布石を読み取るのは難しくない。

 第一の理由は来年6月の地方選挙だ。十中八九、民主党は地方選でも国民の力を「内乱勢力」に追い込むだろう。第二の理由は、李大統領の司法リスクのためだろう。退任後、五つの裁判再開の可能性を根本的に封じ込めようとしている。

 9月26日発表の韓国ギャラップ世論調査で、李大統領の国政支持率は55%、民主党支持率は38%だった。定期調査では李政権になって最低値だ。与党の支持率下落の原因は、民主党の執拗(しつよう)な司法府圧迫を除いては説明が難しい。

 いま民主党は節制と慎重さを失っている。自身の政治的な座標とコードを“岩盤党員”に合わせている。鄭清来代表、秋美愛法司委員長などが競って強硬発言をするのは、このためだ。彼らが主導する司法府圧迫は非常戒厳に反対し、尹錫悦前大統領の弾劾に賛成した国民でさえ拒否感を持っている。李大統領の実用主義に希望を持ち、ようやく心を開いた中道層が再び背を向ける可能性が高い。「党の心」を追うと「民心」を逃すものだ。

 韓国政治史を顧みれば、過度な権力集中の試みはいつも国民の大きな抵抗に直面した。傲慢(ごうまん)な政治勢力を国民は選挙を通じて間違いなく審判した。いま民主党はこの国の民主主義と正義、真実を全て独占しているかのように振る舞う。民主党が権力行使を自制しなければ、後日、耐え難い結果に苦しむことになるだろう。

(パク・チャンオク論説室長、9月30日付)

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