トップ国際朝鮮半島「平和的な2国家論」を説く統一相 北朝鮮に力与える恐れも

「平和的な2国家論」を説く統一相 北朝鮮に力与える恐れも

【ポイント解説】韓国民は統一を望むか

 北朝鮮が「民族統一」の旗を取り下げ、韓国を「主敵」としたのは2023年末から年明けにかけて、朝鮮労働党会議と最高人民会議の場でだった。この宣言を当時の韓国、特に保守界隈では「韓国文化流入阻止のため」次元で捉えようとしていたし、親北左派は特に強い反応を示さなかった。

 ところが北朝鮮は24年10月に本当に憲法を改正して韓国を「敵国」と定義した。さらに国歌の歌詞「三千里の美しいわが祖国」は半分の「千五百里」でもなく「この世界の美しいわが祖国」に変えられた。「三千里」は朝鮮半島全体を指す言葉だ。北の本気度を見て韓国は、ようやく朝鮮半島のフェーズが変わったことを感じ始めた。

 南北統一は双方共に「民族の悲願」であり、いくら現実が厳しくとも、建前上は絶対取り下げられるものではない。だが本音では今すぐに統一が実現するとは思っていない。いやむしろ統一は不要との意識は若い世代になればなるほど広がっている。もはや「統一」は空念仏も同じ状況になっているわけだ。

 ここにきて当時目立った反応を示さなかった左派が北朝鮮の2国家論に追従するような発言を繰り出してきた。それは結果的に北朝鮮が望む状況を朝鮮半島につくることになる。つまり二つの国家が存在するという“現実”を認めることだ。

 北朝鮮を独立した別の国家だとすれば、敵国に大使館を設けるかどうかは別にしても、南北は「外交」関係を取ることになる。そう持っていきたいのだろうか、李在明政権は。(岩崎 哲)

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