トップ国際朝鮮半島「平和的な2国家論」を説く統一相 北朝鮮に力与える恐れも

「平和的な2国家論」を説く統一相 北朝鮮に力与える恐れも

1日、韓国中西部・鶏龍台で開かれた「国軍の日」記念式典で演説する李在明大統領(EPA時事)
1日、韓国中西部・鶏龍台で開かれた「国軍の日」記念式典で演説する李在明大統領(EPA時事)

 鄭東泳(チョンドンヨン)統一部長官が連日、南北2国家論を説いている。鄭長官は24日、統一部(部は省に相当)と北朝鮮研究学会が主催したセミナーの祝辞で「敵対的な2国家論を平和的な2国家論に転換しなければならない」と2国家論に同調する意思を明らかにした。

 これに対し統一放棄・永久分断的発言だという指摘が出ると、25日の記者懇談会で、南北について「事実上の2国家、既に2国家、国際法的に2国家」だとし、「少なくとも50~60%の国民が北朝鮮を国家だと答える。国民の多数が(北朝鮮を)国家と認定するのが現実」だと述べた。そして「2国家であること、(北朝鮮の)国家性を認めることが、永久分断を意味するものではない」とした。

 鄭長官の言う通り、北朝鮮の国家性の認定が直ちに統一の否定につながるものではない。問題は、鄭長官の意図とは関係なく、国民の統一無用論、統一拒否感の拡散を加速し得るということだ。

 民主平和統一諮問会議が実施した今年第2四半期の「統一世論・動向」によれば、国民の3分の1(30・4%)が統一は必要ない(全く必要ない+あまり必要ない)と答えた。これは20代で34・2%、40代では41・9%に達した。理念性向別には進歩16・0%、中道31・9%、保守39・8%の割合で統一は必要ないと答えた。

 このような状況で、統一に関する事務を管轄する統一部トップの相次ぐ発言が、統一の当為性に対する認識を曇らせるのではないかと懸念される。統一の道が険しく大変でも、朴槿恵政権時の統一「大当たり」論までではなくても、韓国国民が統一に対する肯定的、楽観的な展望を育てようというビジョンの提示が必要な時ではないだろうか。

 2国家論は「大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属島嶼(とうしょ)とする」という憲法第3条、「大韓民国は統一を志向し、自由民主的な基本秩序に立脚した平和的な統一政策を樹立し、これを推進する」という憲法第4条違反という議論が出てくる恐れがあるという点も留意しなければならない。統一部長官の2国家論擁護は、魏聖洛(ウィソンナク)国家安保室長の「政府は2国家論を支持したり、認めたりはしない」という発言とも相反し、政府内の不一致議論も起こり得る。

 1991年12月に締結され、翌年2月に発効した南北基本合意書は体制認定、内部問題不干渉、破壊・転覆行為の禁止、不可侵、交流などの内容を網羅している。同合意書では「双方間の関係が国と国の間の関係でない統一を志向する過程で暫定的に形成される特殊な関係だということを認定し、平和統一を成就するための共同の努力を傾注することを誓う」という内容が含まれている。民族関係と国家関係が共存する南北関係の特殊性から統一を志向するという決意が込められているのだ。

 金正恩総書記をはじめとする北朝鮮政権が同合意書を紙切れにしようとしており、懸念が大きい。ややもすると、こうした北朝鮮の敵対的2国家論に力を与える恐れもある。北朝鮮の核・弾道ミサイル開発で前途が見えない南北の現実を打開するための苦肉の策だとしても、統一に対する誤った認識を植え付け、不必要な雑音を生む2国家論を提起することには、慎重を期すべきであるという点を肝に銘じなければならない。

(論説室の観点、9月27日付)

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