トップ国際朝鮮半島非核化・統一を後回しか 韓国・李大統領 「北朝鮮の味方」保守派批判 歴代左派政権の挫折反復も 【ワールドスコープ】

非核化・統一を後回しか 韓国・李大統領 「北朝鮮の味方」保守派批判 歴代左派政権の挫折反復も 【ワールドスコープ】

韓国の李在明大統領(EPA時事)
韓国の李在明大統領(EPA時事)

 韓国の李在明大統領が、北朝鮮の非核化や朝鮮半島統一を後回しにするような発言をし、国内保守派から批判の声が上がっている。金正恩総書記の路線を追認するような姿勢は日米韓連携に影を落とし、連帯を強める中朝露への抑止力低下につながりかねない。(ソウル上田勇実)

 李氏は今月23日(現地時間)、米ニューヨークで開かれた国連総会の演説で朝鮮半島平和と関連し、「交流(Exchange)、関係正常化(Normalization)、非核化(Denuclearization)、すなわちENDを中心とした対話で朝鮮半島の敵対と対決の時代を終息(END)」させると述べた。

 このいわゆる「END構想」は、交流・関係正常化・非核化の英語の頭文字をつなげたENDを、敵対・対決の終息のENDに掛けたとして話題になったが、「最も確実な平和は戦う必要がない状態」という李氏の持論に沿った対北政策だ。

 だが、同構想には「非核化と統一を後回しにする底意」が隠されているとする指摘が上がった。「関係正常化」は国交正常化を意味し、そもそも朝鮮半島に2国家があることを前提にしている。しかも「非核化」は最もハードルが高く、言及した順からも優先順位は最後という印象を与える。

 2国家論については、鄭東泳統一相も「南北は事実上の2国家、すでに2国家、国際法的に2国家」であり、「国民の多数が(北朝鮮を)国家と認めているのが現実」と述べている。

 問題は、韓国は北朝鮮にとって核の人質同然の立場に置かれる恐れがあることだ。END構想は、韓国が北朝鮮による核放棄を期待する一定の期間、自由民主主義に基づく統一を目指さないまま核保有する北朝鮮と向き合うことをよしとしているからだ。

 保守系の最大野党「国民の力」の張東赫代表は25日、「対北制裁で力を合わせる同盟国の前で吸収統一も一切の敵対的行為もしないというのは、北朝鮮の味方をするようなもので、事実上、北朝鮮の2国家論を支持したもの」と批判した。

 保守系野党「改革新党」の李俊錫代表は「END構想は無邪気な夢にすぎない。(金大中、盧武鉉、文在寅政権の)太陽政策、平和繁栄政策で既に挫折した幻想をまた夢見ようというもので、これは政策ではなく妄想であり、外交ではなく自害行為」と厳しく指弾した。

 非核化と統一を後回しにするような李氏の構想は、正恩氏の路線に逆らわないという意味で、李氏が標榜(ひょうぼう)する「実用主義」と合致する。正恩氏と歩調を合わせれば、政府間対話の道が開ける余地があるためだ。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(AFP時事)

 22日付の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、20日から平壌で開かれた最高人民会議(国会に相当)で正恩氏が演説し、非核化は「絶対にあり得ない」、韓国と北朝鮮は「異質的で決して一つになることができない二つの国家」と述べたと報じた。

 非核化や統一に現実味がなくなりつつあるのも確かだ。

 北朝鮮が初めての核実験をしてから20年近くがたち、その間に非核化に向けた6カ国協議や米朝首脳会談が行われたが、ほとんど成果はなく、非核化問題は形骸化。南北統一も分断が固定化し、韓国国民は経済的負担を敬遠し、朝鮮戦争(1950~53年)後に生まれた世代が増えて関心そのものが希薄になっている。

 「実用主義」を掲げる李氏としては、より現実的な「非核化・統一の後回し」を選んだつもりだろう。ただ、それは正恩氏の思う壺(つぼ)でもある。

 正恩氏は「10年、20年いや50年、100年非核化を熱唱、合唱しても核保有の事実は彼ら(米国とその同盟国)にとって善かれあしかれ変わらず残り続けるだろう」(最高人民会議の演説)と豪語。26日には核関連分野の科学者、技術者との会議で「核戦力による平和の維持と安全保障の論理は絶対不変」と主張した。李氏の対北「実用」は北の独裁体制を追認する危険をはらんでいる。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »