トップ国際朝鮮半島“交流の逆説”と中国人ビザ免除 安逸な準備では得より失多い

“交流の逆説”と中国人ビザ免除 安逸な準備では得より失多い

【ポイント解説】「知れば知るほど」悪化する

 インターネットの発達、韓流ブームの到来などで日本で韓国情報が溢(あふ)れるようになった。人の往来も質量ともに変化した。日本人の韓国訪問はビジネス中心だった時代は男性が多かったが、今では芸能人のコンサートを見るための女性が増えてきた。BSテレビでは韓流ドラマが流され、韓国グループの音楽が席巻している。

 だが一方で、これまであまり知らなかった相手のことが分かってくるにつれて、幻想が取れて現実が見えてくる。お互いへの新規発見では良いことも多いが、悪いことの方が意識の中で占める割合が勝るものだ。

 グローバリズムの時代から自国ファーストの時代へと転換する中で、外国人への拒否感も膨らむ。ネット情報がそれを加速する。相手国への訪問という実体験でネット情報が上書きされはするものの、偏見の伝播(でんぱ)速度の方が早く、相手国への感情の改善にはつながらない。

 日本、韓国、中国で互いへの情報と感情も同じような現象を示している。特に情報統制が強い中国ではなかなか相手国への偏見が改善されない。むしろ意図を持った情報がネット空間では瞬時に広がる。いわゆるデマや時には謀略であったりする。

 韓中間で起こった「ニンニク騒動」は“消費量世界一”の韓国が中国産ニンニクに関税をかけたことをきっかけに貿易問題、国家間の紛争に発展したものだ。THAAD事態はもっぱら北朝鮮のミサイルを監視するレーダーを韓国内に設置したところ、中国が“まる見え”になると反発した。文化摩擦は衣類や習慣の“起源”を巡る言い争い。東北工程は歴史解釈自体の変更を試みるものだ。

 これまで研究者の論文に留(とど)まっていたものが、実体の交流を通じて「知れば知るほど」嫌になることを編集委員は「交流の逆説」と言った。(岩崎 哲)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »