トップ国際朝鮮半島“金ジュエ”後継説に異議!? 正恩氏夫人「息子擁立へ画策」か 韓国専門家

“金ジュエ”後継説に異議!? 正恩氏夫人「息子擁立へ画策」か 韓国専門家

北朝鮮 女性首領、内部で抵抗感も北朝鮮

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右)と金ジュエ氏とされる娘=2024年5月、平壌(AFP時事)

 今月3日の中国抗日戦勝80年に合わせて訪中した北朝鮮の金正恩総書記が、娘の金ジュエ氏(名前は未確認)を連れて行ったことを巡り、韓国では再びジュエ氏が正恩氏の後継者に確定したのではないかとの見方が浮上している。娘は本当に4代目後継者なのだろうか。(ソウル上田勇実)

 この夏、北京に駐在する韓国メディアの特派員たちの間で、ある噂が出回ったという。それは「正恩氏の息子とみられる男子が北京のインターナショナルスクールに通っているようだ」というものだった。ただ、記者たちは自分の目で確かめられず、証拠写真も入手できなかったため、スクープ記事が出ることはなかった。

 韓国では複数の専門家たちが「正恩氏には娘を挟んで上と下に息子が2人いる」との見方をしている。国家情報院長を務めた与党「共に民主党」の朴智元議員も8日、ラジオ番組で「金ジュエ後継説」を否定し、「息子が西側世界のどこかに留学しているだろう」「それを隠すためジュエを目立たせている」と語った。

 そのわずか3日後、今度は国情院が国会で今回の正恩氏訪中に娘が同行したことについて「金ジュエ後継を念頭に置いた革命史記を完成させるプロセス」と説明したが、「現段階では娘が後継者ではない確証を示せないため、安全な報告をした側面が強い」(元国情院関係者)。国情院の報告は、娘はあくまで後継候補の一人にすぎないと言っているようにも聞こえる。

 正恩氏に息子がいて、その子が「後継の本命」だとしたら、ジュエ氏の訪中同行にはどのような意味があるのか。北朝鮮外交官出身で野党「国民の力」元議員の太永浩氏はこう述べる。

 「背後で画策しているのは正恩氏の夫人、李雪主氏ではないか。ひとたび金氏王朝に入ったら、どうすれば自分の産んだ子を最高指導者の座に就かせられるかを必死に考えるはずだ。健康不安を抱える夫の存命中にその作業にメドをつけてこそ自分の地位も保障される。ジュエを後継者のように前面に立たせ、息子の後継準備が完了した段階で、ジュエと交代させる形で息子を後継者として正式にデビューさせる可能性もある」

 またジュエ氏の存在自体が北朝鮮内外で宣伝効果が高いため、宣伝工作に長(た)けた朝鮮労働党の宣伝扇動部もジュエ氏の同行を「ドラマチックで“興行”になると判断した」(南成旭・元高麗大学教授)とみられる。

 李雪主氏に対する呼称の変化が息子誕生の可能性を物語っているという見方もある。ある高位脱北者は「数年前、『李雪主同志』から『李雪主女史』に呼び方が変わったことがあるが、北朝鮮では金日成主席の生母、康盤石氏や金正日総書記を産んだ金正淑氏にも女史という呼称が付けられた。女史への呼称変更は後継者となる息子誕生と密接な関係にある」と指摘した。

 そもそも依然として儒教精神が根強く、家父長制度が残る北朝鮮社会では、女性指導者への抵抗感が強いため、金ジュエ後継説には否定的な見方が少なくない。「事実上の先軍政治が続く北朝鮮という特殊な国で、幹部や国民が女性首領に従うのは難しい」(前出の高位脱北者)とも言える。

 北朝鮮は第8回党大会(2021年)で党規約を改正し、「党第一書記」を新設して「第一書記は総書記の代理人」になることが明記された。つまり正恩氏に万が一のことがあった場合に備え、あらかじめ正恩氏を「代理」する後継者のポストとして第一書記が設けられた。現在は空席だが、いずれ正恩氏の子供のうち誰かが就任する公算が大きい。

 当面、ネックになるのは正恩氏の健康問題だ。元韓国警察庁公安問題研究所研究官の柳東烈氏は「後継させる子供が20代から30代に達するまでの今後10年から20年の間、正恩氏が健康であることが4代目擁立の条件の一つになる。世襲と言えども道のりは決して平坦ではない」と述べた。

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