トップ国際朝鮮半島対中包囲網から外れる韓国 「トランプが終われば」は誤り 4年後も米国の基調は変わらず【論壇時評】

対中包囲網から外れる韓国 「トランプが終われば」は誤り 4年後も米国の基調は変わらず【論壇時評】

韓国政府の中には、「トランプの4年だけをやり過ごせばいい」との考えがあるという。8月末に米韓首脳会談を終え、中国がロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長らを招いて天安門に並び立った9月3日の「戦勝節」を終えた後では、その考えも変わっているかもしれないが。これらの一連の外交が終わる前までは、韓国政府は“のんびり”構えていたのではないか。

月刊朝鮮(9月号)に米ワシントンのエネルギーコンサルティング「パシフィック21」ディレクターの劉敏鎬(ユミノ)氏が「トランプは4年しか持たないという見方は間違いだ」と書いている。トランプ政権が終わっても、アメリカ・ファースト、反グローバリズムに舵(かじ)を切り、対中封じ込めを進める米国の基調は変わらないからで、韓国はトランプ政権を耐え忍べば、また曖昧戦略を取り得ると高をくくっているが、それは誤りだという指摘だ。

米国は既に「アチソン・ライン」を引いていると劉氏はいう。アチソン・ラインとは太平洋戦争後の日本の防衛ラインを言い、それに朝鮮半島が含まれていなかったことから、1950年の北朝鮮の南侵を誘発した、と言われている。

劉氏は「私の意見では『21世紀版アチソン・ライン』は既に始まっている。日本、フィリピン、インド、オーストラリアを結ぶ海上警備ラインで、台湾を中心とした『中国に対する防衛網』だ」とし、「韓国はこれからはみ出ている。韓国が『対中防衛網』に無関心だからだ」と指摘する。

李在明政府は「米軍との対北朝鮮軍事演習だけでなく、対中国自由世界防衛網への参加についても否定的」で、韓国だけが対中包囲網に消極的な態度を見せている。歴史的に中国との関係が深く、現在も太い経済関係を結んでいる中国に対して、韓国政府は到底、米国のような態度は取れないからだ。

その結果、米中両陣営の間に立って「中立外交」や「バランス外交」を取ると言ったり、「仲介者」となると言ったり、およそ自身の外交力量からいって手に負えず、画餅に帰してきたのがこれまでの韓国政府だった。

だが、国際情勢は韓国が悠長に曖昧な態度を取る時間を与えてくれない。劉氏は「台湾は21世紀の真珠湾」とまで指摘する。何かといえば、万が一中国が台湾に行動を起こせば、かつての日本軍による真珠湾攻撃のように、米国が自ら乗り出す戦争につながるということだ。

劉氏は「トランプと米国の最終的な標的は中国だ。中国を封じ込め、中国をさらに弱体化させることが米国の究極の目標だ」とし、なぜそうするかといえば、「中国が急速に成長するにつれて、米国はもちろんあらゆる西側諸国の利益と衝突している」からで、「中国の軍事力と経済力が米国のそれを凌駕(りょうが)する前に制圧しなければならないというのが米国歴史の常識でありルールだ」と説く。

現在、米国民の多くは「中国との戦争」を支持しているわけではない。だが台湾有事となれば、状況は一変するし、これまで築いてきた対中包囲網が起動するわけだ。

ところが、これには穴がある。韓国だ。「現在も韓国はこのような米国の常識とルールに反する周辺アウトサイダーとして残っている」と劉氏は警告している。

2015年の戦勝70周年には中国語が堪能で反日政策を取った朴槿恵大統領が天安門に上ったが、李在明大統領は今回の招待には応じなかった。だが代わりに派遣したのは禹元植国会議長と与党共に民主党の朴智元議員だった。

朴智元氏は金大中大統領の最側近の一人で、文在寅政権では国家情報院院長を歴任した人物だ。その朴氏が人民大会堂で行われた行事の際、金正恩氏に近づき「金正恩委員長様、私です」と2回声を掛けて、2回とも無視されたエピソードを自ら紹介している。

普通、2度も無視されたのなら、この接触は失敗と言うべきだろうが、朴氏は「金正恩委員長を呼んだことは、韓国が本当に対話を望んでいることを直接伝えられたので、非常に大きな意味があると思っている」と自画自賛だ。

李在明大統領がいくら日米韓の協力を強調したところで、足元の党内で「敵と通じようとしている」重鎮議員がいることを米国はどう見て分析するか、韓国のちぐはぐな外交の実情である。

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