トップ国際朝鮮半島金正恩氏、中露後ろ盾に米と交渉か 中国抗日戦勝節に参加へ

金正恩氏、中露後ろ盾に米と交渉か 中国抗日戦勝節に参加へ

(写真左から)ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(EPA時事)
(写真左から)ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(EPA時事)

北朝鮮の金正恩総書記があす北京で行われる中国抗日戦勝80年記念式典に出席し、軍事パレードを観覧するひな壇に中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と一緒に3人が隣り合わせに並ぶ見通しだ。正恩氏はロシアのウクライナ侵攻で始まった戦争の停戦後をにらみ、中露を後ろ盾にトランプ米大統領が意欲を示す米朝首脳会談に臨もうとしているのではないかとする見方が出ている。(ソウル上田勇実)

力による現状変更の試みを繰り返す中国の軍事力誇示の場で、これ見よがしに一堂に会す中露朝の3首脳。特に正恩氏出席が発表されたのが、日米韓3カ国の連携を強調し合った先の日韓・米韓首脳会談が終わった直後だったこともあり、「反西側陣営」結束のアピール効果は最大限に発揮されそうだ。

記念式には20カ国以上の首脳が参加するが、訪問先以外の国の首脳が集まる場には絶対足を運ばなかった父・金正日氏同様、正恩氏も「多数の中の一員」となることを避けてきた。その慣例を破って今回参加を決めた背景には幾つか思惑があるようだが、最も注目すべきはトランプ氏との会談に向けた準備だ。

北朝鮮外交官出身で韓国最大野党「国民の力」元議員の太永浩氏はこう指摘する。

「ウ露戦争の停戦に向けた動きが出始め、トランプ氏も年内停戦に意欲を示す中、北朝鮮としてはトランプ氏が韓国の李在明大統領との会談で意欲を示した米朝首脳会談への準備が必要。記念式は習氏やプーチン氏の同意を取り付ける絶好の場になる」

韓国の複数の専門家も正恩氏の記念式参加について「中露両国を後ろ盾にトランプ氏と対話しようというもの」(南成旭・元高麗大学教授)、「米朝交渉のための準備」(朝鮮労働党副部長を父に持つある高位脱北者)などと、同様の見方を示した。

ただ、トランプ氏が意味のある北朝鮮非核化を目指したシンガポール会談(2018年)やハノイ会談(19年)とは異なり、第2期トランプ政権はハードルを低くして核軍縮交渉を持ち掛ける可能性が指摘されている。

例えば「トランプ氏は寧辺核施設の永久廃棄や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射場の廃棄を求め、正恩氏はその見返りに制裁の部分解除を求めるようなディール」(太氏)になった場合、トランプ氏は北朝鮮核問題の部分解決というレガシー(政治的遺産)を残し、正恩氏は「核保有国の地位」を確保するというメリットがそれぞれ得られる。

過去の米朝首脳会談で思い起こされるのは、韓国の文在寅大統領が両者の仲介役に奔走しながら、会談決裂後に北朝鮮側の信頼を失ったことだ。先の米韓首脳会談で李大統領は、来月末から南東部の慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場での米朝首脳会談を提案するなど、早くも仲介を果たすことに乗り気だが、韓国抜きに米朝が直接話を進める可能性は否定できない。

北朝鮮はすでに核弾頭を数十発保有するとみられる事実上の核保有国だが、正式にその地位を米大統領が認めることを、会談ホスト国として韓国が仲介させられるような事態に至らないとも限らない。

正恩氏の中国抗日戦勝記念式参加のニュースは、国内向け宣伝扇動媒体とも言える労働新聞でも報じられた。北朝鮮の住民に「指導力を誇示する」(柳東烈・元韓国警察庁公安問題研究所研究官)効果を狙ったものとみられる。

北朝鮮は来月10日に労働党創立80年という大きな節目を迎え、来年早々には党大会も控える。ウ露停戦でロシアへの派兵がストップして外貨が減ることを想定し、「ビッグイベントを盛大に祝うためにも中国の援助が切実な状況」(鄭成長・世宗研究所副所長)だ。ロシア密着で疎遠になっていた中国との関係を復元せざるを得ない事情と言える。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »