
尹夫妻拘束に「感激」か
韓国の李在明政権が就任2カ月余りで早くも左派路線に拍車を掛けている。日本統治からの解放日である今月15日に合わせた恒例の特赦では、有罪判決で服役・執行猶予中だった「親北反日」主義者らを赦免し、空席となっていた教育相には偏向的な理念教育で知られる左派団体の出身者を指名した。保革統合を盛んに口にする李氏だが、実際の行動はそれと懸け離れている。(ソウル上田勇実)
「光復(日本統治からの解放)で取り戻した光を二度と再び奪われないよう、独裁と内乱から守った光が再び消えないよう、私たち全員が一緒に守ることこそ、『光の革命』の真の完成だと信じる」
これは15日の光復節記念行事で演説した李氏の言葉だ。日本の植民地支配から解放され手にした「光」に、尹錫悦前大統領による非常戒厳宣言に端を発した一連の混乱が収拾したことで得られた「光」を“上書き”し、保守派から権力を守ることこそ「光の革命」の完成だと言っているようにも聞こえる。
今回李氏は演説で「光」という言葉を多用した。一説によれば、これは李氏の人生観が変わり、権力を目指すきっかけとなったとされる、軍事独裁政権に抗し市民が民主化を求めて蜂起した光州事件(1980年)の「光」の字を意識したものだという。
韓国は解放80年という大きな節目に、本来なら「世界での地位が高まり堂々たる国になったことをもっと誇ってもいい」(呉世勲ソウル市長)はずだが、李氏は保守派に政権奪取されない左派王国をつくる野心をにじませ、左派が跋扈(ばっこ)し始めている。
解放80年に合わせて実施された大統領特赦には、尹美香・元「共に民主党議員」と曺国・元法相が含まれ、世間を驚かせた。
尹氏は元慰安婦たちの支援団体を率いた反日派。被害者支援金の横領など八つの容疑で起訴され、国会議員の任期を全うした後、昨年11月にようやく懲役1年6月、執行猶予3年の有罪が確定した。夫は過去に国家保安法違反で有罪判決を受け、本人も北朝鮮とのつながりが疑われてきた。
曺氏は子供の不正入試に関わったなどとして昨年12月に懲役2年が確定。5年にわたる裁判の期間中に祖国革新党という革新系政党を立ち上げ、その代表となり、尹錫悦氏弾劾を目指して李氏と連帯した。
反日的な発言で物議を醸したことがあるが、祖国革新党は曺氏特赦が決まるや「日本軍慰安婦被害者支援法」の早期成立と慰安婦像の国会内設置を求める記者会見を開いた。また曺氏は「90年代、親北的で反国家団体である社会主義労働者同盟の核心メンバーとして活動し、その後、転向意思を表明したことがない」(元公安検察幹部)という隠れ親北派だ。
世論調査機関の韓国ギャラップによると、尹美香氏・曺氏の特赦を巡り反対が48%、賛成が43%で反対が上回った。今回の光復節行事でも李氏の演説時間にある野党議員が「赦免反対」と記された横断幕を掲げ、事の深刻さを浮き彫りにした。
李氏がこうした反対論を押し切る形で2人の特赦に踏み切ったのは、急進的な「親北反日」派の2人の今後の活動に期待をかけているからに他ならない。
李氏はこのほど、空席となっていた教育相に、「親北親中・反日反米」の偏向教育で知られる全国教職員労働組合(全教組)の出身者として初めて崔教振氏を指名した。崔氏はかつてSNS上に、北朝鮮の核開発を容認しつつ対北支援を拡大すべきだと主張した文章をアップしたこともある。
一方、尹錫悦氏の妻、金建希氏は13日、金氏の各種不正疑惑を捜査する特別検察官の捜査チームに逮捕された。内乱首謀罪などで公判中の尹氏はすでにソウル拘置所に拘留されており、夫妻そろって身柄を拘束されるという異例の事態となっている。
しかし、それも李氏にとっては、「感激の瞬間」(光復節演説)だったという、昨年末の戒厳令から今年の尹氏弾劾などに至る一連の「内乱清算」のクライマックスだったのかもしれない。






