
対象者選別の法制化急げ
李在明政権の光復節(8月15日の解放記念日)特別赦免(しゃめん)(恩赦に相当)を巡って国中が騒然としている。恩赦・復権名簿に曺国(チョグク)前祖国革新党代表(元法相)夫妻、尹美香(ユンミヒャン)・崔康旭(チェカンウク)元議員など、国民の公憤を買った与党の関係者らが大挙含まれているからだ。彼らには国民が納得し得る恩赦の名分と原則は見いだし難い。法治主義の根幹を害する「赦免権の乱用」「彼らだけの恩赦祭り」という憂慮が大きい。
曺元法相は子供の入試不正と監察もみ消し容疑で昨年12月、懲役2年の実刑が確定して収監された。まだ刑期の半分も満たしていない。与党側の岩盤支持層は曺氏が「検察権乱用」「政治報復」の被害者だと主張している。だが、公正と正義を捨てた彼を「無念な被害者」と見るのは、普遍的共感を得ることができない。
尹元議員は日本軍慰安婦被害者の支援金を私的に流用した容疑などで有罪の確定判決を受けた。他ならぬ元慰安婦らを食い物にしたのはあきれ果てる犯罪だ。光復節恩赦の趣旨から懸け離れているのではないのか。二人の恩赦がもたらす後遺症がどれほど大きいか見当がつかない。
どの政権も、大統領が身内の政治家を恩赦するために、野党関係者を紛れ込ませるやり方を使ってきた。野党「国民の力」の院内代表が大統領秘書室長にメールで自党出身の不正政治家らの恩赦と復権を頼んだのは、政治的駆け引きが行き交う実情を露呈したものだ。「曺国に目を瞑(つぶ)るから野党政治家の不正も恩赦してほしい」ということではないか。表と裏が違う政界の素顔に嫌気が差す。

不適切な恩赦の副作用は既に現れている。兵役を逃れようと韓国国籍を放棄し、23年間入国が禁止されてきた歌手ユ・スンジュン(劉承俊)氏のファンたちが李在明大統領に「入国制限を再検討してほしい」と求めた。「曺国・尹美香など政治家の恩赦検討で示された“国民統合と和合”の意思が、一般国民であるユ氏にも同様に適用されるべきだ」と要求したのだ。類似の注文があちこちから殺到するのは明らかだ。恩赦がどこまで戯画化するか心配だ。
赦免権は憲法が付与した大統領の固有権限だが、司法府の確定判決を覆す例外的な手段だ。だから先進諸国は赦免権を非常に制限的に行使している。無分別な恩赦は「司法ニヒリズム」を生む。これを防ぐためには、赦免権の誤・乱用を防止する法改正が必要だ。
赦免対象排除条項を明示するなど、手続きと内容を統制しなければならない。権力型の不正腐敗事犯、憲政秩序の破壊犯、反倫理的・反人道主義的な犯罪者はもちろん、大統領側近に対する「報恩赦免」を防ぐ規定も作るべきだ。法務部(法務省)の赦免審査委員会が政権親和的な人物で構成され、追認役にとどまることも問題だ。客観的で実質的な審査ができるよう、国会が乗り出して牽制(けんせい)すべきだ。
(蔡禧昌論説委員、8月12日付)





