
102年前、東京一帯で起こった朝鮮人虐殺などの惨劇に、最近、日本ペンクラブが改めて光を当てた。参院選で現れた排外主義の様相が関東大震災当時と似ているからだ。
反外国人情緒を煽(あお)る中心には新生右派政党・参政党の神谷宗幣代表がいる。彼は選挙運動が始まった今月3日の遊説でこのように語った。
「外国人の資本がどんどん入ってきて東京の土地やマンションを買ったりとか、企業の株式がどんどん売られて経営者が外国人になってしまうとかすることに、一定の規制をしようというのが参政党の呼び掛けだ。外国人が観光に来るのは関係ないが、安い労働力だからといってむやみに入れると結局、日本人の賃金が上がらない。良い仕事に就けない外国人はどこかに逃げてしまい、そのような人々が集団を作って大きな犯罪が起こる」
神谷代表は外信記者へのブリーフィングで、フランスの国民連合(RN)や「ドイツのための選択肢(AfD)」等、欧州の極右諸政党と問題意識を共有するとも表明した。
神谷代表の言葉に似たフェイクニュースがSNSで乱舞している。「外国人の国民健康保険料未納額が年間4000億円に達する」、「日本人は奨学金を返すのに困っているのに中国人留学生には返済義務がない奨学金1000万円が支援されている」、「外国人の増加が治安悪化につながっている」等々だ。日本のメディアが検証を通じ「誤った情報」だと収拾しているが、デマは既にあちこちに広がった後だ。
外国人に対する反感を煽る言動は、今回の選挙の核心争点と見られていた物価高対策の議論を覆い隠してしまった。NHKが先月16日から1カ月の間、SNSのX(旧ツイッター)に掲載された選挙関連の投稿を分析したところ、「外国人」関連の投稿が119万件で、「消費税」67万件、「物価高」19万件などを圧倒した。
なぜ突然の排外主義であろうか。神谷代表の第一声にヒントがある。高度成長期の1977年に生まれた彼は「私たちが子供の頃は、未来に日本がもっと良くなるという展望があったが、今は希望がない」として、「日本が貧困化した背景にはグローバル化がある」と述べた。成長鈍化の矢を外国資本・人材の流入に向けたのだ。不可抗力的な自然災害の前でうっぷん晴らしの対象を探すためにデマをばらまいた102年前と似ていた。
それで日本ペンクラブは「少しずつでも、成熟し前進してきた民主主義社会が、一部政治家によるいっときの歓心を買うためのデマや差別的発言によって、後退し崩壊していくことを、私たちは決して許さない」と批判した。
当初、今回の選挙は自民党一強体制の崩壊と多党制深化の可能性、石破茂首相の今後の運命に関心が集まっていた。時間が経(た)つほど、外国人嫌悪の感情に頼った政党が民意を過度に代表することになるのではないかという憂慮が大きくなる。
参政党は投票日の2日前に、目標議席数を20席へ上方修正した。125議席を選ぶ今回の選挙の参政党のスローガンは「日本人ファースト」だ。
(ユ・テヨン東京特派員、7月21日付)





