トップ国際朝鮮半島「二つの国家論」克服するビジョン示せ  北は基本合意書を事実上廃棄

「二つの国家論」克服するビジョン示せ  北は基本合意書を事実上廃棄

【ポイント解説】内向き過ぎる統一方案

韓国で左派政権が誕生すると北朝鮮に対して融和的な政策を採る。皮肉にも歴代最も左派的だった文在寅政権の時に南北関係は破綻した。

2020年6月、南北交流の基地として北朝鮮の開城に設置された南北共同連絡事務所を北朝鮮は爆破して見せたのだ。韓国が出した建築費と3年間の運営費は約15億円に及んだが、それが目の前で吹き飛ばされたのである。

なぜ金正恩氏が爆破したかと言えば、南北交流の実りが得られないからだ。それに南の金と物資、文化が流入し、これを放置すれば体制の崩壊を招く恐れがあった。そうなれば金正恩統治の正統性が揺らぐことになり、それを惧れて対南関係を遮断し「韓国は敵だ」と言って、国民を引き締めたと言われる。

ところが韓国側の反応はいまいち鈍かった。敵対国家で武力で統一すべき対象だと言われながら、韓国側に切迫感がないのである。韓国政府は北の国内引き締め策程度にしか認識していなかった。

実際、そうなのだろう。北が軍事的行動を起こせる環境・条件はなく、待っていれば北体制は自壊し、むしろ北を養う費用を韓国の若い世代は心配しているのが現状である。これまでの統一方案は交渉相手がしっかりと体制維持しているという前提が必要だが、北が崩壊して南が吸収するとの発想は、これとは完全に矛盾している。

それに南北分断が国際政治の結果ならば、統一も南北だけの問題でなく、国際社会の関与と支援が必要だ。しかし統一方案はもっぱら南北だけが考慮され、国際社会は眼中にない。

一方で崩壊した北朝鮮を中国が吸収し「内モンゴル」化するというシナリオを予想する学者もいる。南北統一方案はあまりにも内向き過ぎるし、国際社会の善意だけを頼りにしている。集団知性にその点を加える必要がありはしないか。(岩崎 哲)

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