トップ国際朝鮮半島保守政党から離れた中道の民心

保守政党から離れた中道の民心

【ポイント解説】もはや「従北」は通じない

2024年4月の総選挙で共に民主党が圧勝したのは「鶴翼の陣」戦術が奏功したからだと言われている。支持層を労組や教組など過激な左派勢力だけに頼らず、穏健な中道政党を取り込んで支持層を両翼に広げた結果だった。

韓国の選挙は「3割の保守、3割の左派、4割の中道」構図の中で中道層の支持をどれだけ獲得したかで勝敗が決する。これまで保守陣営は左派を「従北」「親北」と攻撃して、それが中道層に共感されてきたが、今はもうこの手は通じないというのだ。それが総選挙や大統領選の結果に明確に表れた。

かつて韓国は反共国家であり、北朝鮮を同胞と言いながら主敵として対峙(たいじ)してきた。それが1980年代の民主化運動によって左派が社会の表面に出てきて、激しい学生運動、労働運動が展開された。軍事独裁に飽きて反発するのは人間の本性であり、これに理念的資金的な燃料投下をして火を大きくし、左に誘導したのが北朝鮮である。

保守陣営はこれを「従北」と攻撃したが、それだけでは収まらない韓国民の中の民主化の波を読み誤っていた。労組や教組を「左、アカ」と断じておくだけで済んだ時代は過ぎ去っていたのだ。

今後、韓国は左にスタンスを置きながら、外交安保は自由陣営に置く、いわゆる「安米経中」(安保は米国、経済は中国)路線をより定着させていくだろうと見られている。李在明大統領の「実用路線」が巧みに実行されれば、保守陣営の足場は益々(ますます)狭まっていくだろう。韓国保守は危機の中にいる。(岩崎 哲)

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