【ポイント解説】「K民主主義」の行方
democracyを「民主主義」と訳したのは福沢諭吉と言われている。韓国人が近代史を視(み)る時、評価が真っ二つに分かれる人物だ。それはさておき、民主主義は外来の政治体制だ。日本で発祥したものでもなく、韓国が生み出したものでもない。だがいま韓国は「K民主主義」を“売り出して”いる。朴槿恵大統領を弾劾し、次の大統領を選出した。今回は尹錫悦大統領を罷免し、やはり選挙で次の大統領を決めた。確かに憲法に従って弾劾、罷免、選挙と手続きを踏んで新しい政権が生み出されている。
問題は最近の2回の弾劾で、それに至るまでの状況が“民主的”だったかどうかということだ。多数決というのは民主主義の基本だが、それには少数意見の尊重も含まれている。また合意を得るためには話し合いや歩み寄りが必要だが、尹大統領が戒厳に踏み切るまでには“言論の府”である国会で与野党の十分な話し合いが行われていたのか、国政を進めるための妥協があったのかと言えば、そうではない。多数を背景にした野党が政府を追い詰めることしかなかった。
朴大統領の時も政権交代の動力は国会内ではなく街頭だった。メディアのフェイクニュースが火を付け油を注ぎ、野党と労組が組織的な大規模デモを連日動員して政権を追い詰めた。これがK民主主義である。
かつてタイでは「クーデターは政権交代の一つの方法」と言われたことがある。今ではそんなことはないが、各国にはその国民の身に馴染(なじ)んだ政治というものがある。わが国にはK民主主義は合いそうもないが。(岩崎 哲)





