
今回の早期大統領選を含んで、中国から眺めた韓国政治はいつも劇的だ。ろうそく集会や大統領弾劾、権力交代が続く韓国政治の場面は、中国人には見慣れないながらも興味深い素材だ。
政治権力の変動がほとんどない中国と比較すると、韓国の政治的変化は予測し難く、時には危険に見える。だが、表面の騒乱と違い、その中を覗いて見れば、韓国の民主主義はかえって制度的な安全性を積んできた。
2016年の朴槿恵元大統領弾劾は、韓国民主主義がどんな方式で危機を管理するかを見せてくれた代表的な事例として残っている。大規模なろうそく集会を呼び起こした国政壟断事態は、激しい政治的混乱につながったが、結局、憲法裁判所の弾劾認容決定と早期大統領選という憲政秩序内の手続きで収拾された。激しい政治的衝突の中でも法的制度と市民の選択が作動し、政権交代は平和的になされた。その後、与野党間で政権交代が繰り返されながらも、こうした手続き上の安定性は、制度の一部となった。
これとは異なり中国は2022年、習近平国家主席の3期目体制がスタートして、政治的な長期安定構造を固めた。指導部の交代はほとんど内部調整を通じて行なわれ、外部の権力衝撃は遮断される。特に1980年代以後、中国で「政権交代」という概念は事実上、存在しない。
こうした政治文化の違いが韓国の政権交代を見つめる中国人の視点を規定する。「どうして政権がそんなによく変わりながら、体制が維持されるか」という質問は中国人の自然な疑問でもあり得る。
今回の大統領選を見守る中国の関心は、政治体制の違いを越えて実質的な利害関係に移る。何よりも米中戦略競争が加速され、韓国の外交路線が重要な変数として浮上した。米国との同盟が強化されるかどうか、対中牽制傾向が維持されるのか、でなければ関係回復の余地ができるのか、などの側面から中国は神経を尖らせている。
韓国では一部の反中感情が政界に広がる兆しも見える。保守陣営では「安保同盟は米国、経済は中国」という過去の分離戦略が限界に達したという指摘が出ている。進歩陣営の内部でも「追従外交」に対する批判と均衡論が対立している。
こうした中、中国もまた相互尊重を掲げながらも、時には経済的圧迫や世論戦を並行する態度を見せている。北京のある消息筋は「韓国は選挙のたびに安保と経済、外交路線を巡って国民が政権の均衡軸を変えるシステム」としながら、「だが、大きな枠組みで見ると、韓米同盟という基本軸は変わらない可能性が高い」と展望した。
韓国民主主義は依然、未完成であるようだ。だが、その中でも市民の選択が制度的に反映され、権力の継承が制度化されている点は重要な資産だ。中国人が尋ねる弾劾関連の質問の中には、体制が持つ根本的な差が投影されている。
(イ・ウジュン北京特派員、6月2日付)