トップ国際朝鮮半島原論レベルにとどまる李氏の安保公約  優先順位定め戦略的対応を

原論レベルにとどまる李氏の安保公約  優先順位定め戦略的対応を

韓国の革新系最大野党「共に民主党」の李在明 前代表(中央)= 24 日、ソウル近郊・富川市(E PA時事)

共に民主党の李在明大統領候補が26日、「国益中心の実用外交」を基調とした外交・安保公約を発表した。李候補は韓米同盟と韓米日協力の土台の上で、韓中、韓露関係を管理するという言論的立場を明らかにした。親中・反日論議を引き起こした過去の進歩政権の路線とは差別化された現実主義的なアプローチであり、評価するに値する。問題は実践するかどうかだ。

李候補は過去に米国、日本に対して批判的で、時には敵対的ですらあった。2021年の民主党大統領候補の時は、「大韓民国は親日清算をできず、親日諸勢力が米占領軍と合作した」と述べ、23年の党代表の時は、日本の福島汚染水(処理水)放出に関して「日本は環境戦犯国家だ。全面戦争を宣布しなければならない」と言った。進歩陣営の支持層は歓呼したが、多くの国民が国の運命を任せるには不安な政治家だと見た。

ところが大統領候補になると突然、「国益中心の実用外交」に旋回した。最近、支持率が低迷していることを受け、中道層の票を得るための粉飾用公約を急造したのではないかという声が出ている。

相手国との関係でも信頼なくしてはまともな成果を出すのは難しい。過去の発言が出てきた背景と趣旨を率直に説明し、不適切な部分があったとすれば謝ることを期待する。李候補に対する国内外の信頼が高まれば、皆にとって良いことだ。

李候補が米日と中露の全てを相手に「実用外交」をするというのは、模範答案にすぎない。冷厳な国際社会の現実に直面すると誤答になりやすい。今のように米中の戦略的な競争が激化している状況ではなおさらだ。

今、台湾事態が発生すれば、韓国は米中のいずれか一国を選択しなければならない。李候補のように「台湾にも謝謝、中国にも謝謝」していては、適切な対応ができないだけでなく国家の信頼まで失い得る。優先順位を明確にして戦略的なロードマップを用意し、一貫して推進してこそ国益を守ることができる。

李候補は26日、「北朝鮮に拉致された人々と国軍捕虜、北朝鮮離脱住民などのための人道的支援と制度の改善に力を注ぎ、北朝鮮住民の人権が実質的に改善されるようにする」と約束した。文在寅政権は「韓半島平和プロセス」に支障を来すという理由で、韓国が2008年から11年間、共同提案国となっていた国連の北朝鮮人権決議案に加わらなかった。北朝鮮の人権問題に目をつぶった代価は、北朝鮮の核・ミサイル挑発だけだった。人権の保護に進歩・保守の別はあり得ない。政権に就くようになれば、この公約だけは必ず守ってもらいたい。(社説、5月27日付)

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