トップ国際朝鮮半島裁判所と検察に振り回される韓国政治

裁判所と検察に振り回される韓国政治

【ポイント解説】妥協がないにもほどがある

尹錫悦前大統領の突然の戒厳発令の背景には、対話や妥協のない韓国国会の攻撃的対決状態があった。野党が多数に任せて予算案までストップさせてはまともな国政運営はできない。加えて、閣僚や検事を次々に弾劾にかけるやり方は国会ジャック、政治の破壊であった。

弾劾された側はその間職務が停止し、高額な裁判費用を私費で負担しなければならない。裁判を忌避しようとすれば野党に妥協せざるを得ないが、これは政治での妥協でなく「撤収」「降伏」に等しかった。

「政治の司法化」で言えば、次の大統領選を巡っても、裁判沙汰が繰り広げられる可能性がある。「不正選挙」「票が盗まれた」などと結果に承服しない側が司法に訴えることもあり得るからだ。これを回避するためには圧倒的票差でどちらかが勝つ必要があるが、選挙戦は接戦が予想されている。

なぜ韓国の政治はこれほどまでに先鋭的な対決状態になるのだろうか。非常に権力の強い大統領制に理由を求めたり、軍事独裁政権の名残を指摘する声もある。だが、根底には理念対立と分断が横たわっている。

現在の野党は大学時代に共産主義の影響を受けたり、実際に活動してきた世代が中心となっている。無謬(むびょう)論に立ちがちな彼らの運動論からすれば、相手との妥協はあり得ない。一方、保守派も権威主義的傾向を持ち、トップの力が強いため、妥協を積み上げ合意を形成する意思決定は不得手な方だ。

不思議なのはそうした彼らが「妥協」もできずに「民主主義」を誇ることだ。(岩崎 哲)

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