米右派見習い価値定立を
朴槿恵氏と尹錫悦氏、2人の保守大統領の墜落で韓国民は仮設建物のような韓国保守の素顔を見ることになった。与党「国民の力」の元代表でさえ「私たちは廃族(先祖が罪を犯し官位に就けなくなった氏族)」と言うほど、保守は存廃の岐路に立った。(金文洙前雇用労働相など)保守系統の大統領候補の支持率を合わせても「共に民主党」の李在明候補のそれに及ばない。
国民の力の大統領候補の予備選が終わってもいないのに、保守陣営では“反李在明ビッグテント”を広げようという話が出る。同党大統領候補が選出されれば、大統領権限代行の韓悳洙首相等と一本化を進め李氏に対抗しようということだ。
主要な大統領選挙のたびに外部の人物を頼るのは、韓国保守だけの特別な特徴だ。首相出身の李会昌、鄭雲燦、金滉植と国連事務総長を務めた潘基文、検察総長(検事総長)出身の尹錫悦が保守から求愛された。しかし、外部の人物の破壊力は概して芳しくなく、彼らのうち唯一の成功例である尹前大統領まで与党と対立し、保守を危うくした。保守はいつまで自生する力を失った“寄生政治”を続けるのだろうか。
保守再建の第一歩は保守の価値を正しく立て直すことだ。米国保守(共和党)の再建過程は参考に値する。1964年の米大統領選で共和党は骨の髄まで右派のバリー・ゴールドウォーターを候補に立てたが、民主党に選挙人団で486対52の壊滅的敗北を喫した。同党は4年後、政権奪還に成功したが、リチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件に関与して辞任し、“廃族”となった。
ニクソン下野事態に対する米国保守の態度は韓国とは違った。ニクソンを「保守主義で大統領の座に就いたが、進歩主義で統治した異端児」と規定し、アイデンティティー再確立の契機にした。社会的保守派と宗教的右派、ネオコン(新保守主義者)は小異を捨てて手を握った。ヘリテージ財団など右派のシンクタンクは論理と政策を供給し、支持者らは草の根方式で保守の底辺を広めていった。その結果がロナルド・レーガンを押し立てた保守の1980年大統領選圧勝だった。
2020年の第21代総選挙の直前、自由韓国党(国民の力の前身)の重鎮議員が総選挙不出馬を宣言し、同党を“ゾンビ政党”と批判した。魂がない保守という話だ。現在、国民の力の議員の人的構成や選挙公約等を見ると“ゾンビ”という表現は言い過ぎではない。
保守は法治と公益を前面に出して、兵役のような共和国市民の義務に忠実でなければならない。そのような面で欠陥がある人事や政策は徹底的に排除しなければならない。中道層と湖南圏(光州・全羅南北道など)の取り込みを中断なく続けていかなければならない。
こういう基本を地道に固めていけば、保守の価値に共感する国民が多数になるだろう。適当に危機を乗り越えて既得権戦いでもするなら、一時出回った「進歩20年執権論」は言葉だけで終わらないだろう。
(趙南奎論説委員、4月17日付)