トップ国際朝鮮半島関税戦争の中国、「組織された反米感情」 慎重な外交戦略、より切実に

関税戦争の中国、「組織された反米感情」 慎重な外交戦略、より切実に

トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)
トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席(AFP時事)

中国外交部の毛寧報道官は今月10日、X(旧ツイッター)に「私たちは中国人であり、挑発を恐れず、退かない」という書き込みと共に1953年、毛沢東の中国人民政治協商会議での演説の映像を上げた。ここで毛沢東は「この戦争はどれくらい長く続くか分からない。いつ終わるかは私たちでなく彼ら(米国)が決めること」としながら、「私たちは完全な勝利を収めるまで戦う」と強調する。最近の米中関税戦争で決して退かないというメッセージをにじませたわけだ。

毛寧報道官はその他にもSNSに「14億中国人の自国利益守護に対する強い意思を絶対に過小評価するな」等の表現で連日、抗戦の意思を表している。単純な外交的な修辞を超えて民間の世論に反米情緒を広めるための努力が窺(うかが)える。

民間でも類似の動きが相次いでいる。湖北省武漢のある食堂は最近、「米国籍の客は追加サービス料金104%を支払え。理解できなければ米国大使館に行って聞いてみろ」という案内文を掲げた。

中国政府はこうした動きを傍観するにとどまらず、ひそかに助長する雰囲気だ。官営メディアも「中国は絶対に屈服しない」という論調の記事を繰り返して出している。

こうした組織的な反米感情が可能な理由は、政治体制にある。中国において世論は自然に形成されるのではなく設計され統制される。党が主導する宣伝システムは国民感情をある方向に追い込むのに長けている。

米国は中国産製品に対して最大145%の高率関税を予告し、事実上、中国産製品の輸入を完全に遮断するという意思を示した。トランプ1期の時よりはるかに強力な措置で、封鎖に近い。

中国は即刻、報復関税を課して正面から対抗に出た。同時にレアアースの輸出統制、米軍需企業への制裁、人民元の為替レート介入の可能性まで取り上げられている。これに加えて当局は民間感情を動員して全面的抗米戦線を形成し、関税戦争はもはや数字の問題でなく「屈服しない」というメッセージを中心としたアイデンティティーの対決に転換されつつある。

米中対立が激化するほど韓国の悩みは深くなる。両国と密接な経済関係を結んでいる韓国は、どちらか一方に立つことが即、他方の反発につながる構造に置かれている。技術とサプライチェーン(供給網)、輸出市場が米中にまたがる中で、韓国は選択を猶予できない局面に入り込んでいる。

地政学的な圧力が大きくなる状況で、戦略的曖昧性を維持するための空間はますます狭まる。経済的依存度を考慮した慎重な外交戦略がより一層切実に求められる時だ。

(イ・ウジュン北京特派員、4月14日付)

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