トップ国際朝鮮半島“憲政侵害”全員一致で尹氏を罷免

“憲政侵害”全員一致で尹氏を罷免

韓国の尹錫悦大統領=ソウル、2月4日(EPA時事)
韓国の尹錫悦大統領=ソウル、2月4日(EPA時事)

分裂やめて新たな出発を

憲法裁判所が4日、尹錫悦大統領の弾劾を判事8人の全員一致で認容した。国民が選んだ大統領が罷免されたのは、朴槿恵元大統領に続き2人目だ。惨澹(さんたん)たる現実だ。

私たちは今回の事態を冷徹に振り返り、省察の時間を持たなければならない。尹氏弾劾審判の過程で賛成・反対勢力が衝突したが、私たちは憲法の手続きに従って非常戒厳が引き起こした憲政侵害を正した。主権者である国民は、憲法裁に終局的な憲政秩序守護の役割を付与した。ならば私たちは憲法裁の決定を無条件で承服しなければならない。

それなのに尹前大統領は罷免直後、「私を支持し応援して下さった皆さんに深く感謝申し上げる。皆さんの期待に応えられずとても残念で申し訳ない」と述べた。突然の非常戒厳で国を混乱に陥れたことに対する謝罪も、憲法裁の決定に承服するとの言葉もなかった。今回の事態が支持層にだけ申し訳ないことなのか。

一方で、憲法裁は野党に向かっても「少数意見を尊重し、政府との関係で寛容と自制を前提に対話と妥協を通じて結論を導き出すよう努力すべきだった」と指摘した。

国会の多数党である共に民主党は尹錫悦政権の首相と閣僚、検事などに対して30件の弾劾訴追案を発議して13件を強行処理した。主要公職者の職務は直ちに停止して国政の空白を呼んだが、憲法裁の決定が出た9件は全て棄却だった。

民主党の法案強行処理と大統領の拒否権行使というやりとりが41回も繰り返された。民主党の李在明代表は尹大統領罷免に関し「私自身を含む政界のすべてが深く省察し、責任を痛感すべきだ」と語った。言葉だけで終わってはならない。

今回弾劾されたのは尹前大統領だけでない。“帝王的な大統領制”と巨大野党の“立法独走”も共に弾劾された。政治は経済・社会発展の障害物になって久しい。古く非効率的な国家運営システムを改革せずには一歩も踏み出せない状況だ。大統領に集中する権限を分散し、「与小野大」国会で日常化した政治の停滞を解消する装置を整えなければならない。

国民の半分以上が改憲を望んでいる。李代表を除く与野党のすべての大統領選の予備候補者が改憲を約束した。李代表の大局的な決断を促したい。

尹氏弾劾問題で国が二つに分かれて戦う間に、経済と安保の両面で危機が訪れた。トランプ米政権は第2次大戦後、米国が構築した「自由主義の国際秩序」を自ら崩している。米中覇権競争が激化し、間に挟まれた韓国の立場はいっそう大変になった。北朝鮮の金正恩総書記はロシアのプーチン大統領と手を握って独裁連帯を強化し、核能力を育てている。

韓国経済は下落傾向が明白だ。一つにまとまって対応しても克服し難い危機だ。

憲法裁の全員一致の決定には、今や分裂をやめて新しく出発しようという意味が込められている。危機のたびに国を興した韓国国民が、もう一度底力を見せる時だ。(論説室の観点、4月4日)

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