
与野党からまず自重を
与野党が主要な政治事件の判決が下されるごとに代わる代わる司法府を攻撃している。
26日、野党・共に民主党(以下、民主党)の李在明代表の公職選挙法違反容疑の控訴審判決が無罪になると、与党・国民の力は連日、裁判所を批判している。権性東院内代表は「合理的な常識を持った判事なら、こうした判断を下すことはできない」「判事の判決文なのか、弁護士の弁論書なのか混乱した」と述べた。
先に、憲法裁判所が大統領権限代行の韓悳洙国務総理の弾劾訴追案を棄却した時は正反対だった。民主党の李代表は「国民が果たして納得するか分からない」として不満を示した。各自の好みに合えば「正しい判決」で、そうでなければ「偏向した判決」だという。
憲法裁の尹錫悦大統領弾劾審判の決定が予想より遅れると、民主党の最高委員は憲法裁判所の審理過程に“見えない手”が介入したという陰謀論を持ち出した。「内乱勢力の作戦」というのだ。それが事実ならば、国がひっくり返るほどの“司法壟断”であるが、根拠もなく疑惑だけを提起する。民主党の報道官は「戒厳も当てた方だから、合理的な推論と情況(証拠)を持って話したはず」と相槌(あいづち)を打った。言いたい放題だ。
見かねた同党の重鎮議員が「裁判所・司法府と憲法裁判所の二つの最高機関を管轄する、それこそ巨大な力がなければできないことではないか。そのようなシナリオは全く話にならない」と、ブレーキをかけた。
尹大統領弾劾賛成・反対勢力の法軽視の行動は危険水位に達している。民主労総(左派の中央労組)は27日、憲法裁の弾劾審判宣告日の指定と大統領罷免を促すゼネストを始めた。不法な政治ストライキだ。全国農民会総連盟は、裁判所の不許可決定にもかかわらずトラクターをソウル市内に進入させて不法集会を強行した。尹大統領の支持者たちは判事の令状発行に不満を抱いて裁判所に乱入したと思えば、弾劾要求の記者会見を行う民主党議員に生卵を投げ付けた。
憲法裁判事などに対するテロの脅威も日常的に行っている。表面では尹大統領の罷免または復帰を叫びながら法治を掲げるが、行動は別物だ。
憲法裁の決定がどっちになっても悲喜が交錯するほかはない。27日に出た全国指標調査(NBS)で40%は憲法裁の尹大統領弾劾審判決定が「私の考えと違えば受け入れない」と答えた。
私たちは彼らまで抱えて新しい憲政秩序をつくり出さなければならない。その動力は、司法府に対する信頼から出てくる。今のように政界が司法不信を助長しては、憲法裁の決定に権威を持たせられるだろうか。政界から自重しなければ法治が危険になる。(社説、3月28日付)