
強い意思と軍事力を固めよ
世界各国がトランプ時代を全身で体験している。「米国を偉大に」という標語は、実は「米国に有利に」という露骨な利己主義に基づいている。もはや既存の政治と外交の常識は期待できず、世界が慌てている。
こうした変化に苦しむ代表的な国がウクライナだ。去る2月28日、戦争支援と引き換えに鉱物の半分を要求する米国に抵抗したゼレンスキー大統領は首脳会談から追い出され、数日後に軍事支援まで切られた。
ロシアはこの機会を逃さずクルスクを攻撃した。切羽詰まったウクライナが3月11日、米国の「30日休戦案」を受け入れて武器支援が再開されたが、2日後にクルスク攻勢の拠点都市スジャはロシアの手に落ちた。
クルスクの奪還を目前にしたロシアは今になって休戦を準備する姿勢だが、プーチン大統領の休戦交渉の相手はゼレンスキー氏でなくトランプ氏だった。ウクライナは米国の決定に振り回されなければならなかった。自国の運命を強大国の決定に委ねて眺めるしかない状況を今は“ウクライナ化”と呼ばなければならないのかもしれない。
こうした渦中でトランプ2期政権発足後、初めての韓米合同軍事演習が20日に終了した。「韓米の堅固な同盟はこれまでで最も強い」という決まり文句が反復されたが、心配は収まらない。1期目の2018年に合同演習を中断し、4年間、韓米軍事同盟が困難に直面したことがある。米朝交渉の局面になれば、再び演習と訓練が中断される恐れがある。トランプ政権は韓米同盟が韓半島の中に閉じ込められているため、韓国にだけ有利だという認識が決定の根拠になるだろう。
韓国安保のウクライナ化を防ぐためには結局、韓国が韓半島を越えた役割を果たし得ることを証明しなければならない。北東アジアの自由民主諸国の中で最強の軍事力を持つのが大韓民国だ。あえて欧州や中東まで出ていかなくても、北東アジアの平和維持において韓国軍の役割を確認させることだけで十分だ。
私たちは北朝鮮以外で平和と繁栄を揺さぶろうとする如何(いか)なる国家にも対抗できることを証明し、単純に韓半島にとどまらず、積極的に地域の平和に寄与する能力と意思を見せるべきだ。
このため、私たちの国防はより一層革新しなければならない。ところが今回の合同軍事演習(自由の盾)で戦闘機の誤爆と無人機の衝突事故など、通常は想像し難い事件・事故が発生した。そのたびに「個人の規律弛緩(しかん)だ」と事故の収拾にだけ集中してきたのがこれまでのやり方だった。むしろ古くて遅れた手続きだけを繰り返し、実戦的な訓練・演習が行われなかった結果ではないのか、反省しなければならない。
このような時であるほどより一層訓練を増やすことによって事故の可能性を低めなければならない。また、韓国が誇る最先端兵器が現代と未来戦に合っているのかを再確認する時だ。米国の尊重の中で、韓国を守るために強い国家意志と熟練された軍事力を固める時だ。
(梁旭(ヤンウク)峨山政策研究院研究委員、3月21日付)