トップ国際朝鮮半島〝帰ってきた大統領〟尹錫悦氏の任務

〝帰ってきた大統領〟尹錫悦氏の任務

8日、ソウル拘置所から釈放され、 支持者に手を振る韓国の尹錫悦大統(AFP時事)
8日、ソウル拘置所から釈放され、 支持者に手を振る韓国の尹錫悦大統(AFP時事)

「いかなる結果も承服」と表明を

大統領が帰ってきた。ソウル拘置所と漢南洞官邸の前で尹錫悦大統領は興奮を隠さなかった。ついでに与党指導部は弾劾を却下しろと言って、大統領を不正義のスケープゴートのように庇(かば)っている。野党は「内乱跋扈(ばっこ)勢力」を云々(うんぬん)し、釈放の指揮を決めた検察総長(検事総長に相当)を弾劾するという。

広場の牧師、全光焄(チョングァンフン)は「もし憲法裁判所が間違ったことをすれば、国民抵抗権を発動して一刀のもとに吹き飛ばす」と脅した。また別の広場の弾劾賛成派は直ちに罷免を促すリレー集会を開いている。

騒乱の始まりは12・3非常戒厳だった。それをどう評価しようと問いはこれだ。戒厳宣言が憲法秩序を害する重大な法違反行為か、大統領を罷免することで得る憲法守護の利益が圧倒的に大きいほど深刻な違反なのか。

大統領が帰ってきても問いが変わりはしない。憲法裁に向かう政界のそれぞれ異なる圧迫は騒音にすぎない。憲法裁の塀の外でいくら激しく叫んでも足を踏み鳴らしても、答えは変わらない。判事8人が全員一致で弾劾を認めた朴槿恵元大統領の前例と法曹界の意見を勘案すれば、憲法裁は既に問いに対する答えをまとめた可能性が高い。それなら憲法裁の時間は終わって、再び政治の時間が戻ってくるわけだ。

憲法裁の決定後、大韓民国が無事なのか尋ねる人が多い。8年前は少数派にすぎなかった弾劾反対デモ隊とは違い、今の弾劾反対デモ隊は賛成デモ隊に匹敵し、若者層の割合も多くなった。組織力と資金力は、かつて民労総が主導したろうそくデモ勢力に劣らない。

洪準杓大邱市長は「弾劾が認容されれば戦争」と言った。戒厳以後、国家リーダーシップの空白状態で経済、外交安保の全てが非常事態なのに、万一、流血暴力事態でも起こったらおぞましいことだ。これまで深まった分裂の溝は、民主党の弾劾乱発と大統領の非常戒厳を経て取り返しのつかない状況に達した。

中国との外交樹立など卓越した業績を立てたニクソン米大統領は、なぜ自ら政治的破滅に至ったのか。自身の感情を管理・統制できなかった結果だった。そのニクソン氏もウォーターゲート事件で弾劾危機の直前、「私たちが真っ先にしなければならないことは、この数カ月間の悲痛と分裂を過去のものとし、共通の理想を再発見することだ」と統合を訴えた。

「最後まで戦う」という尹大統領に退路は見えない。それでもまだ“愛国市民”だけでなく全国民を代表する国家指導者だ。尹大統領は釈放後、大統領室の関係者たちに不必要な論議が起きないよう節制された対応を注文したという。憲法裁の決定前にメッセージを出す可能性があるという観測も出ている。

「いかなる場合でも暴力はあってはならず、いかなる結果でも承服しなければならない」という立場が表明されることを期待する。帰ってきた大統領の任務は大韓民国を存続させることでなければならないからだ。

(黄政美編集人、3月11日付)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »