【ポイント解説】なぜ弾劾集会に中国人?
韓国では今“嫌中国人感情”が大きくなっているという。直接のきっかけは尹錫悦大統領弾劾集会に多くの中国人が中国国旗を振って参加していることが目撃され、弾劾事態が中国による「陰謀」だとの説がネット界隈で出回っているからだ。
韓国人の嫌中感情は今に始まったことではない。「日本統治は36年だが、中国支配は千年だ」と言われる。中国大陸の王朝と朝貢冊封関係を結んでいた朝鮮半島の歴代王朝は長い間、大陸に「臣下の礼」をとってきた。
制度や様式といった文化面では積極的な“忠実な継承者”たらんとする半面、外交軍事面では無理難題を強いられ屈従させれられてきた。そのため心の奥底で劣等感、敵愾心(てきがいしん)、反発心を蓄えていったのは避けられないことだった。
現在、米国と同盟を結んでいながら、今では経済大国として立ちはだかる中国との関係も韓国には不可欠だ。米国、中国という体制の違う2大パワーの間で「相生」を求めていくことが国益であり、それはいつも難しい綱渡りとなっている。
そうした「反中感情」は常に地下に蓄えられているのだが、それが「中国人」に向けられるようになると、また別次元の話になる。韓国人の反日感情は強いが「日本政府と日本人とは違う」というのが一般的で日本人に直接敵意が向けられることはほぼない。韓国で政治活動する日本人がいないからだ。
中国人への反感の中には、外国人それも中国人まで集会に“動員”した左派野党勢力への反発・批判が込められていると見るべきだが、どうだろうか。記者がその点に言及しなかった理由が分からない。(岩崎 哲)