トップ国際朝鮮半島韓国はいま「体制間戦争中」―尹氏「弾劾」問題 「憲法裁まるで北の人民裁判」「軍服脱ぎスーツ着ても親日」

韓国はいま「体制間戦争中」―尹氏「弾劾」問題 「憲法裁まるで北の人民裁判」「軍服脱ぎスーツ着ても親日」

保守巻き返し 審判に影響か

15日、ソウル市の光化門前広場で行われた尹氏弾劾賛成集会。約1万5千人(警察推計)
韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言から2カ月半。来月にも憲法裁判所が弾劾の可否を言い渡す見通しだが、今回の事態は単に大統領一人の弾劾事件にとどまらず、自由民主主義を守ろうとする勢力と全体主義・共産主義的な路線へ隠密に転換させようとする勢力による、いわば体制間の戦争だとの認識がここに来て広がっている。弾劾やむなしの見方が多い中、どのような影響が及ぶのか注目される。(ソウル上田勇実、写真も)

先週末、ソウル中心街で尹氏弾劾を巡る保革両陣営の大規模集会がそれぞれ開かれ、演説者の声が周囲に響き渡った。

「李在明集団の背後には中国共産党と北朝鮮がいる!」(弾劾反対の保守系集会)

「親日は軍服を脱ぎスーツ姿になっても中身は同じ。尹錫悦までそれが続いている!」(弾劾賛成の革新系集会)

反対派は、尹氏が弾劾されて最大野党の共に民主党を牛耳る李氏が次期大統領になれば、親中朝政策への転換は必至だとして危機感を募らせた。一方、賛成派は歴代保守系大統領の名を列挙して「親日派」と指摘、尹氏もその流れをくんでいると批判した。

15 日 、 ソ ウ ル 市 の 世 宗 大 路 で 開 か れ た 尹 氏 弾 劾 反 対 集 会 。 4 万 人 ( 警 察 推 計 ) が 集 まった

この日は全国各地で同様に弾劾賛否の集会が開かれ、特に革新政治の“聖地”となってきた南西部・光州では警察推計で反対集会に3万人が集まり、賛成集会の2万人を上回る勢いを見せた。

当初、各種世論調査で「弾劾賛成」は「弾劾反対」を大幅に上回っていたが、最近はその差が急速に縮まる傾向にある。世論が真っ二つに割れ、尹氏擁護の世論が増えているのはなぜなのか。

野党陣営による尹氏弾劾の動きにいち早く警鐘を鳴らした李熙天・元韓国国家情報大学院教授はこう指摘する。

「弾劾を巡る一連の騒動は単なる政治事件ではなく、国家を揺さぶる体制間の戦争。弾劾は自由民主主義に対する弾劾であり、何十年もかけて各界各層を掌握し、破壊してきた従北反国家勢力に対する敗北を意味する」

実は、もともと政治に関心が薄いノンポリや無党派層までが事態の深刻さに気付くようになったきっかけこそ、尹氏「弾劾」問題だったと李教授は指摘する。

「昨年12月3日の戒厳令宣布で尹大統領は、弾劾連発や予算削減などで国政を麻痺(まひ)させた国会多数派の野党による横暴は反国家行為であり、自由民主主義体制の転覆企図だと指摘した。体制危機が迫り、敵は誰なのか、そして国家守護か反国家かという戦線を明確に示してくれたことで、多くの国民がただ事ではないと目覚めたのではないか」(李教授)

20代元OLの趙善栄さんも政治に関心が無かった一人だが、大学で脱北者出身の友達ができたことで世界が開けたという。趙さんは「韓国は初代の李承晩大統領の時から自由重視で出発した。尹大統領弾劾反対の一番重要な価値は自由民主主義を守ることだ」と述べた。

現在、尹氏に対する国会弾劾訴追を受け、憲法裁判所で審理を進められている。だが、本来重視すべき法論理が無視され、李在明氏の次期大統領選出馬への悪影響を最小限にとどめるかのように異例のスピードで行われ、批判が続出している。最大の問題は8人の裁判官をまとめる文炯培所長代行が、左派判事の団体「ウリ法研究会」出身で、自らを同会で「最も左」と自称するほど偏向的な思想信条の持ち主であることだ。

ある元検察幹部は「野党の推薦枠で憲法裁判所や大法院に任命される判事たちは、20年以上前に左翼から意識化教育を受けた思想的に透徹な人たち。わが国大統領の運命を決める裁判に、まるで北朝鮮の裁判官が来て判決を下す人民裁判が行われているようなもの」と話す。

世論の影響も受けると言われる憲法裁判所の判決は、今のところ「3月の初めか中旬」(韓国メディア)の見通し。8人のうち6人が弾劾に賛成すれば、尹氏は罷免されるが、弾劾反対派の巻き返しで影響が及ぶ可能性も排除できない。

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