トップ国際朝鮮半島金正恩氏 「拉致」固執しないなら対話 北朝鮮 幹部会議で対日方針

金正恩氏 「拉致」固執しないなら対話 北朝鮮 幹部会議で対日方針

石破首相の「過去贖罪」に注目

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(写真左、朝鮮 中央通信配信・AFP時事)と石破茂首相

北朝鮮の金正恩総書記が先月30日、党や外務省の幹部を集めた会議で日本が拉致問題を前面に出さないなら日本側との対話を拒む理由はないとの認識を示したことが分かった。北朝鮮消息筋が17日本紙に明らかにした。「拉致」抜きで国交正常化交渉に踏み出したい思惑もありそうだ。(ソウル上田勇実)

会議は朝鮮労働党国際部、対敵指導局(旧統一戦線部)、外務省の幹部を集めて開催され、参加した金氏が対日政策について発言した。

金氏は日朝関係について「最近、日本国内で対北政策を巡るムードが変わってきたことが感知される」とし、特に「日本の国会議員たちを中心に『拉致問題解決が最優先』から他の対北アプローチを模索する声が上がっている」と指摘。「日本が拉致問題だけを前面に出さないなら、われわれも彼らとの対話を拒む理由はない」と述べたという。

また金氏は、石破茂首相について「これまで過去の歴史に対する贖罪(しょくざい)に言及してきた事実に注目する必要がある」と述べ、莫大(ばくだい)な戦後補償につながる日本との国交正常化交渉を視野に入れる必要性にも言及した。

現在、北朝鮮は「日本との交渉窓口を外務省ラインを軸に行っている」(同筋)とみられる。昨年8月、岸田文雄首相(当時)は予定していた中央アジア外遊を地震対応優先を理由に急きょ取りやめたが、最後の訪問国であるモンゴルからの帰途、北朝鮮訪問を試みようとして実現しなかったとみられている。

今回の幹部会議で金氏は「対話を拒まないからと言って、むやみに日本のアプローチを歓迎することはできない」と釘(くぎ)を刺し、「日本に対しては注意深く彼らの意図を正確に把握し、指導部の結論に従って行動すべき」だと促した。

一方、金氏は会議で対米方針と関連し、「トランプ大統領が選挙期間中から(自分との)関係が良好であると強調しているが、グリーンランドやパナマ運河の併合、高関税政策は米国の侵略性をそのまま示している」と指摘した。

金氏はトランプ氏が意欲を示す金氏との首脳会談について「2019年のハノイ(首脳会談)の教訓から見ても、トランプの対北発言を肯定的に評価できない」と述べ、「軍事力強化に拍車を掛けなければならない」とハッパを掛けたという。

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