トップ国際朝鮮半島支持率が上昇した保守与党の錯覚

支持率が上昇した保守与党の錯覚

2024年12月3日、 非常戒厳を宣言する韓国の尹錫悦大統領=ソウル(大統領府提供)
2024年12月3日、 非常戒厳を宣言する韓国の尹錫悦大統領=ソウル(大統領府提供)

反省も省察も戦略もなし

先週報じられた本紙世論調査で支持政党がなかったり、分からないと答えた無党派層は14%だった。これまで20%台を維持してきた無党派層が10%台前半に減ったのは先の大統領選の半月前より低い数値だという。保守、進歩両陣営に最大限結集しているという意味だ。国民の力の支持率は38%、共に民主党は41%だった。

12・3非常戒厳事態後の支持率反騰の気流に与党と大統領室の声は大きくなっている。ソウル拘置所に収監中の尹錫悦大統領は左派勢力と戦う本人のために支持層が結集しているとして鼓舞された雰囲気だという。

だが、これは錯覚にすぎない。40%に肉迫する国民の力の支持率は「岩盤保守」の拡張ではなく、大統領と金建希夫人のせいで離脱した中道保守層の帰還と見るべきだ。尹氏に投票したが彼を恥ずかしく思う保守、「尹錫悦も嫌い、(共に民主党代表の)李在明も嫌い」という中間地帯の人々が「尹が抜けた」与党側に乗り換えたわけだ。

大統領の支持率上昇は李代表より弱者に見える“弱者効果”が大きく、大統領の評価は弾劾への賛否世論で見るのが合理的だ(ホ・ジンジェ韓国ギャラップ世論首席)。弾劾の賛成率は反対に比べ依然20%ほど高い。与党が大統領との一体戦略に向かう瞬間、両党の拮抗(きっこう)した構図は蜃気楼(しんきろう)のように消えて「20%差」だけが残るだろう。だが、大統領と与党にも信じるところがある。弾劾・政権交代の賛成世論を吸収できていない李代表だ。早期大統領選挙の局面を迎えても、李代表が野党候補になれば、保守が一丸となって十分戦えるという計算だ。

保守が一丸となるかは疑問だが、李代表が公職選挙法違反(虚偽事実公表)事件の控訴審で1審のように有罪宣告を受けても最後まで野党候補に居座ることが、与党候補に有利なのは正しい。問題は与党候補が“弾劾の川”を渡らなければ李代表に対抗する名分がないことだ。

さらに致命的なことは李代表が不敗のカードとして残らない可能性も完全排除できない点だ。親文(親文在寅)系の任鍾晳元大統領秘書室長は「李在明自身を祭壇に捧(ささ)げても、必ず政権交代を実現するという決死の覚悟を持ってほしい」と言った。司法リスクで支持率が動揺すれば、政権交代という「大義」のために後ろに退けという話だ。全国民が驚愕(きょうがく)した弾劾局面で保守陣営は反省も省察も戦略もなく、上下する支持率に酔っているようだ。そして、再び李在明だけを眺めている。12・3戒厳の根源を考えると、昨年4月の総選挙惨敗だった。「選挙で負ければ植物政府となる」という警告にもかかわらず、尹大統領は韓東勲非常対策委員長と不和になり、民心と異なる道に進んだ。

 大韓民国体制が危機に直面した重大な局面というのに異論はない。保守が解決者になるというのなら、最小限、その危機を自ら招来した人物を中心に立ててはならない。

(黄政美編集人、2月11日付)

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