【ポイント解説】「常識」でなく「戒厳」選んだ大統領
歴史に「イフ」はないのだが、もし日本の臨時国会の様子を尹錫悦大統領が見ていたら、どうだったろうか。「少数与党として他党にも丁寧に意見を聴き、可能な限り幅広い合意形成を図る」という石破政治は、尹大統領をして戒厳発令を思いとどまらせていたかどうか。
もっとも地下指令室に籠(こ)もり、自分に都合のいい報告だけを聞き、お気に入りの動画ばかり見ていた尹氏に、日本からの報道は届かなかっただろう。せっかく手元に「戒厳」という魔法のカードがあるのに、どうして執拗(しつよう)な野党の攻撃と妨害、難癖に「丁寧な説明」ができようか。
妥協や譲歩は厳格な法律の世界には馴染(なじ)みにくいし、検察総長だった尹氏は法の規定にあれば実行し得るものと判断して、使えるものは使ってみた、というところだろう。それに尹氏を追い込んだ野党の追及は「尹氏の破滅」を目的としていたのだから、妥協でやむ保証はなかったと考えられる。
一方、韓国の保守政党は危機に陥ると「革新と中道」で乗り切ってきたと政治部長は説明する。ところが、今の与党は逆の方向に向かっている。これでは小さな地域保守政党に転落すると危惧される。
これを乗り越えるためには「常識」の政治に戻ることだというが、与党にも野党にも一番ないのがこの常識であるのが今の韓国だろう。(岩崎 哲)





