露の軍事支援拡大は明らか
北朝鮮が派兵した。初めての大規模海外派兵だ。情報機関などによると、12月までに実に約1万2000人、4個旅団規模が派兵される。戦場はロシアが不法侵略したウクライナだ。
北朝鮮はウクライナ戦争を機会と見ている。北は中国の支援で国際的な経済制裁をどうにか耐えてきた。しかし、莫大(ばくだい)な核開発資金に加えて人民の生活苦まで責任を負わなければならない金正恩総書記にとって、中国の支援は同情水準のものにすぎない。
半面、支援には渋いが、いったん決心すれば大規模な取引が可能なロシアは“太い綱”だ。国際社会から孤立したロシアは味方に立つ国には支援を惜しまない。ロシアに必要な弾薬と武器を提供して、北朝鮮も恩恵を受け始めた。ロシアの執拗(しつよう)な攻撃で国連の対北制裁専門家パネルは空中分解し、ロシアの拒否権行使で安保理の追加制裁は今は不可能になった。
北朝鮮はついにロシアが最も願うものを提供した。それが兵力だ。今までのロシアの死傷者は60万人余りに達すると北大西洋条約機構(NATO)は推定している。戦争前の現役兵力が90万人だったことを考慮すれば、想像し難い被害だ。主要激戦地で1万~2万の兵士を追加するだけでも勝てるのに、当面派遣する兵力がない。
それ故、北朝鮮が送る約1万人の兵力は“干天の慈雨”だ。現地の諜報(ちょうほう)によれば、北朝鮮軍は最大8万8000人までの派兵を念頭に置いているという。従って北朝鮮の派兵はロシアにとってウクライナ戦争勝利のための核心動力になる。
北朝鮮の派兵決定は同僚の独裁者向けの善意の支援ではあり得ない。危険が大きいほど反対給付も大きくなり、代価の支給も先に保証されなければならない。結局、朝露双方の取引が既に終わっているのだ。経済的・軍事的利益は別にしても、戦後も消耗した武器を補充しなければならないロシアにとって北朝鮮は重要なパートナーとなり、その代価として北核保有を既成事実化しようとしている。
韓国はこれまでロシアが北朝鮮に軍事的支援を提供する恐れがあるとの理由で対露制裁とウクライナへの武器支援に消極的だった。しかし、北朝鮮の派兵が決定した以上、ロシアは自国が提供できる全ての支援を北朝鮮に約束し、履行していると見るべきだ。われわれがいくら自制し、説得してもロシアの北朝鮮支援は一層拡大するだろう。
もはやロシアの善意に頼る愚は許されない。K防衛産業の輸出強国だと称する前、約70年前に韓国動乱に直面したわが国のような状況にある国を支援し得る勇気をまず持たなければならない。北朝鮮にどこからも自由民主主義を揺るがすことはできないと実感させることが、われわれのなすべきことだ。
(梁旭(ヤンウク)峨山政策研究員、11月1日付)