【韓国紙】退任控えた岸田首相の「ぶらさがり」会見

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長との電話会談後、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後、首相官邸
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長との電話会談後、記者団の取材に応じる岸田文雄首相=20日午後、首相官邸

尹大統領は略式を早期中断

今月6日、ソウル・龍山で韓日首脳会談が終わった直後、日本の反応をチェックするためにNHK放送をつけると、ちょうど岸田文雄首相が同行の日本人記者たちと質問応答を行っていた。彼は小さな手帳を持って会談内容を簡略に伝え、直接会談の意義を評価した。

記者たちの質問は自民党総裁選に移った。韓国で開かれた首脳会談の取材現場だったが、記者は日本国内の主要懸案に対する見解を気兼ねなく聞き、岸田首相はそれなりの返事をした。それを見て「日本は首相とメディアの出会いが本当に自然だ」と、改めて思った。

“ぶらさがり”と呼ばれる日本の略式記者会見の場面だ。首相が官邸へ出退勤する際、取材陣の質問を受けるのが最も良く知られている形だ。国政の最高責任者の公開された活動だが、特別な形式はない。事前に内容が調整されたりもするが、対面する首相と記者は自然に質疑応答をする。

この場で首相は主要政策の内容、当面の懸案に対する対応策、解決意思などを説明する。政局を自身の思いのまま導いていくための布石を打ったりもする。岸田首相は2021年10月の就任以後、1年間で約170回もこうした会見を行ったという。

「最近ぶらさがりが頻繁になっているが理由は」という質問に、「(主要政策などの)透明性を高めて、速やかに伝達するのは首相として大変重要な仕事」だと答えた。失言で悪材料が発生する契機になったりもするが、相変わらず首相のぶらさがりは日本政治において珍しい場面ではない。

尹錫悦大統領は就任当初、ぶらさがりと似た形式のドアステッピング(略式記者会見)を始めた。だが、22年11月の61回目を最後に中断している。歴代大統領が慣例のように行っていた新年会見を特定メディアとの単独インタビューに代替したりもした。今年5月の就任2年記者会見は実に1年9カ月ぶりの会見だった。大統領候補の時代に「大統領はメディアにしばしば出て質問を受けなければならず、率直に答えなければならないと考える」と語ったのとは大違いだ。

最新の韓国ギャラップ世論調査で尹大統領に対する肯定評価は20%と、歴代最低値だった。否定的評価の理由のうち3番目が「疎通(コミュニケーション)不足」だった。ここにはさまざまな理由があるだろうが、メディアとの接触を避けることも主要な要因だと考えられる。今は韓国で大統領が記者会見すること自体が特別なことのように認識されるような感じだ。

口ではいつも前面に掲げる国民に説明し、国民を説得することには無神経な韓国政治の実状を見るようで苦々しい。

(姜具烈東京特派員、9月23日付)

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