2人対面し政治の変化示せ
尹錫悦大統領が12日、李明博元大統領に会ったという。就任の初っぱな、狂牛病騒動を体験した李元大統領は政権後半期の国政キーワードとして「公正な社会」を掲げた。2010年の8・15光復節の祝辞を通じてだ。
李明博氏は自叙伝『大統領の時間』で「狂牛病事態は国民とのコミュニケーションの重要性を体感する契機になった」として、「新自由主義への反省と省察をして、政策方向も庶民に密着した“親庶民中道実用”に修正することになった」と書いた。
尹大統領の光復節の祝辞と対国民国政ブリーフィングに注目するのは、任期後半の国政方向を測るためだ。支持率20~30%台に縛られている尹大統領は、韓・米・日外交復元など対外的な成果を除けばこれといった成果を見せていない。先月末のギャラップの世論調査で否定的評価の理由として最も多く挙げられたのは「経済・民生・物価」(14%)と「金建希夫人問題」「コミュニケーション不足」(各9%)だ。政権初期に“左派根絶”を訴えていた李明博氏が任期後半、庶民・中産層政策に力点を置いた“生活の政治”へと軌道修正した戦略は今も有効だ。
8月18日、共に民主党の党大会で再任が確実視される李在明前代表が“モクサニズム(暮らしの問題)”を持ち出したのもこのような民心を意識したためだ。「国民の暮らしの問題を解決すること、“モクサニズム”がまさに唯一のイデオロギーでなければならない。成長の回復と持続成長がすなわち民生であり、“モクサニズム”の核心だ」。大統領選挙の「出師の表」を彷彿(ほうふつ)とさせる党権挑戦宣言文だった。
尹大統領の任期後半のビジョン、再任する李在明氏の8・18党大会構想が民生に焦点を合わせたものなら、この上なくうれしい。根も葉もない弾劾、特検法政局で法案一つまともに通過させることができない“無能国会”を眺めれば、より一層その感を強くする。
尹大統領と李在明氏がそれぞれ相手に望むのは「今のまま」ではないか。今までしてきた通り不通・不和で力でぶつかってこそ、相手に対する非好感、敵対感を動力として陣営を団結させられるからという話だ。逆を言えば、相手が最も恐れるのは変化した尹錫悦、変化した李在明だ。
人は簡単には変わらない。だが、尹大統領が就任初期に約束した労働・教育・年金改革を最後まで“大統領議題”として堅持するためには、また“司法リスク”に縛られた李在明氏が政権交代を狙う政党でリーダーシップを見せるためには、今の方式では難しい。ひとまず2人が対面しなければならない。そうしてこそ民生法案、年金改革のような懸案も解決するだろうが、何よりも、誰がより変わろうとしているのかを知ることができる。
(黄政美(ファンジョンミ)編集人、8月13日付)