【韓国紙】北朝鮮・金正恩氏の“核談判”に備えよ

4日、平壌で、新型戦術弾道ミサイル発射台の配備式典で新たに組織された部隊に軍旗を授与する金正恩朝鮮労働党総書記(中央右)(朝鮮通信·時事)
4日、平壌で、新型戦術弾道ミサイル発射台の配備式典で新たに組織された部隊に軍旗を授与する金正恩朝鮮労働党総書記(中央右)(朝鮮通信·時事)

2度の賭けで半島揺るがす

北朝鮮の金正恩総書記が権力を握って13年が経(た)った。今年、彼の顔が単独で刻まれたバッジが初めて公の場に登場した。最高指導者として先代と同じクラスに入ったという評価が出ている。

「金正恩体制」は確固とした根を下ろしたようだ。対外的には2度の賭けで韓半島情勢を根本から揺さぶった。最初は2016年1月の第4回核実験だ。その前の3回の核実験とは根本的に違う。当時、瀕死(ひんし)状態だった6者協議が事実上、死亡宣告を受けた。もはや外交的手段で北朝鮮の核問題を解決できないという事実が明らかになったのだ。

北朝鮮は核の高度化を加速した。06年に初めて核実験し、第4回直前まで10年間で3回だけだったが、第4回を契機に16年秋と翌17年9月に相次いで第5、第6回の核実験を成功させて「核武力完成」を宣言した。

韓国としては、中国に対する幻想から抜け出す契機になった。韓中関係進展をテコに中国を説得して北朝鮮の核開発にブレーキをかけられるという期待が消えたのだ。迷夢から脱した韓国は、中国が嫌がるTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を決め、韓中関係は国交樹立後、最悪の状況に陥った。

第二は北朝鮮とロシアの新条約締結だ。金総書記は今年6月19日、平壌を訪問したプーチン露大統領との首脳会談で包括的戦略パートナー関係を宣言した。有事の際、ロシアに韓半島介入の名分を与え、1961年の同盟体制を復元したという評価が出ている。ウクライナ戦争で外交、軍事、経済的に切迫していたロシアの事情が反映されたとはいえ、金総書記の戦略的賭けが成果を上げたことは事実だ。

次の賭けを予想するのは難しくない。米国との核談判だ。完成した核武力を国際社会に公認してもらい、体制安定を企てるということだ。すでにトランプ前政権当時に1度試みたことがある。北朝鮮は2017年11月29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」発射後、核武力完成を宣言した。その上でシンガポールとハノイで2度、米朝首脳会談を行った。だが北朝鮮が寧辺などの核関連施設を隠そうとする意図が露呈して合意は不発に終わった。今年11月の米大統領選後に試みる新しい核談判は、はるかに精巧で洗練された方式になるものとみられる。

韓中、韓露関係を考慮して、「この程度はしてもいいだろう」(中国)、または「この程度なら線は越えないだろう」(ロシア)と期待し、安易だった部分が韓国にあったことは否めない。絶対に安易な対応を繰り返してはならない。過去30年の、北核対応失敗の歴史を反面教師としなければならない。北朝鮮の完全な非核化なき核談判は必ず阻止されなければならない。

(イ・ウスン外交安保部長、8月7日付)

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