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韓国「反日銅像」阻止の道険し 独・伊にも拡散

韓 国 語 で 「 撤 去 」 と 書 か れ た マ ス ク が 掛 け ら れ た 慰 安 婦 像 ( ソ ウ ル 市 松 坡 区 の ブ ッ ク ミ ュ ー ジ ア ム 前 、 金 柄 憲 氏 提 供 )

韓国で徴用工像や慰安婦像などいわゆる「反日銅像」の設置を阻んだり、既存の像を撤去させようという動きが労働組合の抵抗や世論の無関心などに阻まれ、滞っている。尹錫悦政権は一貫して日韓関係重視の姿勢を維持しているが、像の設置阻止や撤去に乗り出せば、「反日」を国内政治に利用する左派から「親日派」と非難されかねず、思い切った措置を講じられないとみられる。(ソウル上田勇実)

「反日銅像」阻止の動きが表面化したのは、南東部の巨済市(慶尚南道)が昨年から今年にかけ2度にわたり市有地への徴用工像設置を「不許可」にしたのがきっかけ。親北反日路線で知られる全国民主労働組合総連盟(民主労総)の地元支部を主体とする像建立推進委員会が市に設置を申請したが、2度とも承認されなかった。

ところが、同委はこれに強く反発し、市役所の駐車場に止めたトラックの荷台に制作したばかりの徴用工像を載せて放置する一方、毎日のように昼食時に市役所前でデモ集会を行い、市長や地元選出の与党議員への陳情を繰り返した。

巨 済 市 文 化 芸 術 会 館 敷 地 内 に 違 法 設 置 さ れ た 徴 用 工 像 。 数 ㍍ 横 に は 慰 安 婦 像 が あ る ( 崔 徳 孝 氏 提 供 )

そして同委は先月28日、像設置に反対する市民団体や地元住民らの警告をよそに慶尚南道全域から民主労総関係者を集め、像設置を強行した。場所は市の文化芸術会館の敷地内で、既に設置されていた慰安婦像のわずか数㍍横だ。慰安婦像と徴用工像がこれほど近くに並んで設置されるのは異例だという。

市は「公有財産の無断占用・使用」を理由に像撤去と設置場所の原状復帰を命じる処分事前通知書を同委に送り、従わない場合は告発や弁償金賦課を辞さない構えだ。だが、同委は強硬設置に至った理由を設置の是非を判断した「市審議委員会のメンバーが偏向的だった」ことにあるなどと弁明し、像をそのまま残して管理するよう市に求めている。

仮に像撤去の行政代執行が行われた場合、民主労総を中核とする同委が実力で阻止しようとするのは必至だ。

像撤去の働き掛けは慰安婦像でも見られる。全国に約150体ある慰安婦像に「撤去」と書かれたマスクを掛けて写真撮影し、SNS上にアップする活動を一部の市民活動家が続けている。学校の構内や私有地などを除く立ち入り可能な場所が対象で、現在60体以上で行った。

ただ、実質的な撤去に結び付くかは疑問。何よりも「慰安婦像反対」の主張がタブー視される韓国社会で、韓国人自身が慰安婦像撤去を呼び掛けることへの関心は薄く、「極右による過度な行動」と蔑視する向きもある。政府・与党にとっても「見て見ぬふりをしていたい問題」(市民団体関係者)であるようだ。

「反日銅像」は韓国国内のみならず、海外でも設置が進んでいる。中でも報道などで話題を呼んだのは公共の場に設置されたドイツとイタリアのケース。ドイツでは昨年、大学構内に設置された慰安婦像が撤去されたのに続き、ベルリン市ミッテ区に韓国系市民団体が4年前に設置した慰安婦像も設置契約上の問題から区が撤去を要請する方針だ。ただ、市民団体側は設置継続に向けた署名活動などを行っている。

イタリア西部のサルデーニャ島では先月、やはり韓国系市民団体により公有地に同国最初の慰安婦像が設置された。独伊両国の慰安婦像について日本政府は相手国当局に「懸念の意」を伝え、撤去を働き掛けているが、市民団体の姿勢は強硬で予断を許さない。韓国内外で拡散する「反日銅像」を阻止するには超えるべき課題が多い。

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