困難な新たな条約締結
来年、韓日国交正常化60周年を迎えるが、20日、外交部(部は省に相当)と国立外交院が共催した「韓日新協力ビジョンフォーラム」が開かれ、政府と民間の韓日関係専門家が集まって両国関係の現実を診断し、未来の方向について議論した。
最近、韓日関係の憂慮要素に浮上した“LINE事態”に対しては、専門家の間で意見が分かれた。日本政府がメッセンジャーLINEの親企業であるNAVER(ネイバー)の持分売却を要求するような異例の行政指導を下したことに対して、韓国内では「一夜にしてネイバーが育てたLINEを日本に奪われる危機」として、反日感情が捉えられている。
韓日フォーラム代表幹事を務める張濟國(チャンジェグク)東西大総長は日本との問題が敏感なものであるだけに、当局がより積極的な初期対応をする必要があると主張した。張総長は「韓日関係が安定した段階ではないだけに、外交部が敏感に対応してほしい」として、LINE事態は「企業間のことだとして初期対応には出ないように見えるが、政界でイシューを活用する隙を与えてはならない」と指摘した。日本当局と緊密な対話チャネルを稼働し、事態が大きくなる前に予防をするのが望ましいという説明だ。
半面、陳昌洙(チンチャンス)世宗研究所日本研究センター長は「この問題を企業の利益、経済安保、韓日関係という三つの視点で見ると、ネイバーが何の話もしていないのに政府が介入してさまざまな状況をつくり出すよりは、原則的な対応が適している」とし、「政府の対応が遅れたとは思わない」と表明した。「企業がどのように出るのか、まだ戦略的に不透明なだけに、これから戦略的に交渉するのをもう少し見守る方がいい」と説明した。
同フォーラムでは新しい韓日関係の“制度化”の必要性も提起された。朴晙雨(パクジュンウ)元ベルギー・欧州連合(EU)大使は1998年の金大中大統領と小渕恵三首相が締結した「21世紀新しい韓日パートナーシップ共同宣言」を引き継ぐ「韓日共同宣言2・0」の締結を現実的な方策として提案した。1965年の韓日基本条約をアップグレードする新しい条約の締結は、国内の政治状況から容易ではないとの判断からだ。
陳センター長は過去の歴史問題と関連し、韓国は「日本の痛切な反省と(心からの)お詫び」の入った金大中・小渕宣言を一層発展させることを望むが、現実的には難しいだろうとし、「過去の歴史問題に対して日本が少しずつアクションを起こすことが、国民を説得するのに必要だ」と強調した。
鄭炳元(チョンビョンウォン)外務次官補はこれについて、「過去の歴史問題は実際、避けられない部分」だとしながらも、「基本的には、過去の歴史問題が未来志向的な発展を足を引っ張ってはならないという精神に基づいて協議をしていこうと思う」と表明した。
彼は「韓日関係の改善が持続するかどうかに対する期待がまだ低い状況」として、「短期的に特定イシューが韓日協力の大きい雰囲気を阻害しないように、両国政府と世論指導層がよく管理することが重要だ」と付け加えた。
(チョン・ジヘ記者、5月21日付)