韓国・尹大統領就任2年 局面打開へ疎通・謝罪

9日、ソウルで記者会見する韓国の尹錫悦大統領((AFP時事)
9日、ソウルで記者会見する韓国の尹錫悦大統領((AFP時事)

日韓改善路線はぶれず

韓国の尹錫悦大統領が10日で就任2年の節目を迎えた。事実上の政権中間評価となった先月の総選挙では与党が記録的惨敗を喫し、その敗因として尹氏の疎通不足や独善的スタイルが指摘されている。そうした声に耳を傾けて再出発するのか。ねじれ国会のまま任期5年を全うしなければならず、厳しい国政運営も予想される。(ソウル上田勇実)

尹氏は9日、就任2年の記者会見を開いた。尹氏の記者会見は実に1年9カ月ぶり。「歴代大統領の中で最も記者会見を開かない」(保守系ジャーナリスト)と批判されてきた尹氏だったが、この日は記者との質疑応答に1時間10分以上を割いた。

尹氏は総選挙で与党が惨敗した原因について「国政運営と私自身の至らなさ」や「国民が経済の改善を実感できなかった」ことを挙げた。「政策を国民に説明したり疎通するのがかなり不足していた」とも語った。そして疎通不足と関連し、今後は「国会、メディア」との疎通に力を入れると述べた。

またブランドバッグの贈り物をもらって隠し持つようにしていたことが分かり、大騒ぎされた夫人の金建希(ゴンヒ)氏の問題にも触れ、「妻が賢明でない行動で国民に心配をお掛けし謝罪する」と述べた。この問題で尹氏が謝罪したのは初めてだ。

総選挙惨敗で政府・与党が窮地に追い込まれる中、尹氏自ら疎通と謝罪で局面打開を図ろうとする狙いがありそうだ。

だが、高い地位を得た大の大人が自分自身を変えるのは難しいもの。特に検事出身の独善的なスタイルを改めるのは簡単ではなく、自分が変わったことを行動で示せるかは不透明だとする見方も少なくない。

今後の焦点は、今月30日に会期が始まるねじれ状態の新しい国会で、左派系の野党陣営が政府・与党にどう攻勢を掛け、尹氏がそれにどう対抗するか。

最大野党の共に民主党や第3党に躍進した祖国革新党を中心とする左派系野党は、政府・与党が関連する各種疑惑をターゲットにし、その捜査に特別検事制を導入しようとするのは必至だ。尹氏が大統領拒否権を乱発すれば、世論の反発を招く恐れもあり、対応に苦慮しそうだ。

一方、尹氏が得意とする外交・安保政策は従来の方針が踏襲される可能性が高い。文在寅前政権の極端な反日政策を大幅に見直し、未来志向を定着させつつある日韓関係について、尹氏は今回の記者会見でも「過去史と一部懸案で両国と両国国民には立場の違いが確かにあるが、未来、北朝鮮核問題への対応、経済協力、インド・太平洋とグローバル社会の共同アジェンダに対するリーダーシップ確保のため協力しなければならない」と述べた。日韓改善の意志はぶれていない。

危うい左派への譲歩

ただ、これも左派陣営が日韓改善を進める尹政権を「親日派」と罵倒し、政治攻勢を掛ける可能性はある。昨夏、東京電力福島第1原子力発電所の処理水を海洋放出した際、何の科学的根拠もなく「汚染水」と決め付け、放出を容認した尹政権を猛批判し、世論を扇動したのはその典型例だ。

また現在、日韓間の新たな懸案になっているLINEアプリの利用者情報流出を巡る問題でも反日攻勢が噴出した。総務省が、アプリを運営するLINEヤフーに対し、業務委託先の韓国IT大手ネイバーとの資本関係を見直すよう求めていることについて、共に民主党の李在明代表はSNSで「伊藤博文の子孫(松本剛明総務相)が韓国サイバー領土『LINE』を侵奪している」と指摘し、尹政権に対応を求めた。李氏の「反日利用丸出し」は相変わらずだ。

尹政権の残り任期3年は、次期大統領選の行方を左右する。尹氏が今後も「支持基盤を疎(おろそ)かにして無党派層や左派への歩み寄りに走れば、保守陣営が分裂する危険をはらんでいる」(元情報機関幹部)だけに、足元を固める努力も求められる。

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